『鬼滅の刃』

めちゃくちゃヒットしていますね。

舞台は大正時代の日本。
人食い鬼によって家族を惨殺され、妹を鬼に変えられた主人公
竈門炭次郎が、妹を人間に戻し、鬼の始祖を倒すために成長していく物語です。

今回は今や社会現象とまで言われる「鬼滅の刃」大ヒットの理由を考察し、そこからビジネスや人生にいかせるヒントを学びとろうというテーマでお送りします。

これね、皆さん絶対読んだ方がいいですよ。
大人の方こそ読むべきです。

私も全巻読んでます。

私は社会科教師でもあるので、もともと歴史が大好きなんですよ。
もうね、鬼滅の世界観、本当にやばいですよ。

はまりました。

この記事を最後まで読んでいただくと、
鬼滅の刃がヒットした理由、
そして、そこから学ぶことをあなたのビジネスや人生にどう生かしていけるか?
ということがわかります。

マンガを読まないとしても、
どれくらいヒットしているか?どういうところがヒットしているのか?
を知っていくことは、時代についていくという意味で必要なので、
マンガあまり興味ないという大人の方もぜひ最後までご覧ください。

どれくらいヒットしているか?

鬼滅の刃、どれくらいヒットしているのかというと、
単行本は出版されたと同時に店頭からなくなってしまうそうです。

本が売れない時代に、これはすごいことですよ。

具体的な数字でいうと、2020年5月現在で6000万部売れています。

比較対象として、「ONE PIECE」は4億7000万部、
「進撃の巨人」は1億部なので、まだまだそれには及びません。
というか、そもそもワンピースは20年以上連載していて、100巻近く発行されているので、ちょっと別格として置いておきましょう。

進撃の巨人も10年以上連載しているんですが、進撃の巨人は10年かけて1億部なんですね。
それでもすごいんですが、鬼滅の刃は2016年からたった4年で6000万部なんですよ。

しかも、初期はあまり人気がなかったそうです。

それが、2019年4月にのアニメ化したことで大ブレイク。
放送開始時に350万部であったコミックス発行部数が、わずか1年足らずで4000万部を突破したのです。

アニメが終了した後もその勢いは止まらず、6000万部突破。
単行本19巻ある単行本はすべて100万部突破。

各社が実施しているマンガ売上ランキングでは、1〜10位まですべて鬼滅の刃、みたいなすごいことが起こってるんです。

例えば、オリコンランキングで
「今月の1位〜10位はすべてEXILEです!」
なんてことあり得ないですよね。

それくらいのことが起こってるということです。

鬼滅の刃 ヒットの秘密

それではなぜ鬼滅の刃はこんなにもヒットしたのでしょうか?
すぎやまなりに考えてみました。

アニメとの相性の良さ

まず第一にはアニメとの相性の良さです。

舞台が大正時代ということで、
和洋折衷の世界観や、戦闘シーンを
CGを駆使した華麗なアニメーションで表現しています。

登場人物たちは「〇〇の呼吸」という呼吸法を使って、
いろいろな技を繰り出していくんですが、
これが本当にアニメーションとの相性がバッチリなんです。

なぜアニメとの相性がバッチリなのか?

それは「浮世絵」「友禅染め」「屏風絵」
に由来する日本伝統の表現技法を、
色彩豊かに取り入れているからなんですね。

ちょっと社会科教師っぽいでしょ。
炭次郎の技とか、なんか和風っぽいなと思うでしょ?
あれ、浮世絵の技法なんですよ。

たぶん皆さん、歴史の資料集とかで見たことあると思います。
ちゃんと勉強してるとね、
アニメひとつとっても見方、楽しみ方が広がりますよ。

この「浮世絵」とか日本の伝統芸術ってもともとマンガ的・アニメ的なんですよ。
自然界を写真のように描き出そうとした西洋画とは全く違う方向性。
それが和洋折衷の世界観をうまく彩っているんですね。

原作でも日本の表現技法は取り入れられているんですが、
やはりアニメになると色彩豊かになり、より一層これが映える。

各剣士や鬼の技、登場シーンなど、いたるところで色鮮やかな和風表現が使われ、そこが観ている人の心にグッと刺さる。

エモいというやつですね。

あとは声優陣がめちゃくちゃ豪華というのも話題になりました。
でもここはちょっと私は詳しくないので割愛します。

これらの相乗効果によって、もともとのいたマンガ時代からのファンだけでなく、アニメ好きな方々からの支持を得たようです。

マンガが「アニメ化」することによって、
マンガ時代のファンからは「ガッカリした」と言われることも多いですが、
鬼滅の刃はアニメ化したことによって、輝いた作品と言えるでしょう。

新撰組的なもの

鬼滅の刃には、鬼を倒すための組織として
「鬼殺隊」というのが出てきます。

これがかっこいいんです。
歴史好きな人からしたらすぐわかると思うんですが、
これは幕末に活躍した「新撰組」をモデルにしていると思われます。

洋服の上に羽織り。
そして刀で戦う剣士たちの集団。

魅力的なリーダーのもとで統率された組織。
目的のためなら死をもいとわない。

これね、日本人大好きなんですよ。

新撰組が活躍した他のが150年ぐらい前なんですが、
もうここ100年ぐらいずっと人気ある。

芝居、小説、映画、ドラマ、マンガ、アニメ、ゲーム。

いろんなところに新撰組、もしくは新撰組的な組織が登場してきます。

同じマンガで記憶に新しいところでは
「ブリーチ」の「護廷十三隊」、
「銀魂」の「真選組」などが挙げられます。

新撰組、もしくは新撰組的な組織は、
日本のヒット作のカギになっていると言えると思います。

人間ドラマの魅力

魅力的な人間ドラマが豊富に描かれているというのもこのマンガの人気の理由のひとつです。

主人公や仲間にはもちろん、的である鬼にも、
一人ひとり背景があり、そこに至る物語があります。

その物語がどれも泣ける。

でも、
お涙頂戴的な、いかにも「ほら泣いて」みたいなストーリーではなく、
ちゃんと作り込まれた本当に悲しいストーリー。

人間の弱さ、無力さ、
そして「神も仏もないのか」と思わせられるようなこの世の不条理さ。

そんな状況の中で、
自分がその人の立場だったら何ができるんだろう?
どう行動するだろう?と考えさせられます。

また、この物語のひとつの大きなキーワードになっているのが『兄弟愛』ではないかと思います。

恋愛とか、親子愛、友情を描いた物語は多いですが、
ここまで兄弟愛について描いた物語は少ないですよね。

後半の展開の速さ

最後は、後半のストーリーの展開の速さです。

第1話目も早いんですよ、
「え、もう鬼になっちゃうの?」みたいな。

でも、そこからしばらく修行時代とかの話が続きます。
おそらく「初期は人気がなかった」というのはこの辺の展開が
ちょっともたついていたからというのもあるかもしれません。

でも、鬼殺隊に入隊してからが早いですよ、本当に。

最初はハイクラスでもなんでもない普通の鬼を一匹倒すのも苦労していたのに、
そっから二段飛ばしぐらいでガンガン強くなっていって、
一気に鬼の頂点にまでコマを進めていきます。

あと、「柱」と呼ばれるこの世界の最強クラスの剣士たちがいるんですが、
ガンガン死にます。

例えば、
過去の人気マンガだったら、最強クラスの人たちが出てきたら、
しばらくはその人たちが活躍して、
主人公もその人たちに助けられたり、すごさに打ちのめされたりして、
強くなっていく、みたいなストーリーが描かれるんですが、
もうガンガン死にますし、死ななくても手が切れちゃったりなんだりで退場を余儀なくされたりします。

あと、
「えっ!?もう!?」って感じでラスボス(鬼舞辻無惨)が見方の本拠地に攻めてちゃいます。

しかも、
ラスボスの配下の四天王みたいな人がいるんですが、
そいつらもラスボスと一緒に攻めてきます笑

これも今までの人気マンガの展開だったら、
普通は中ボスたちが順番に倒されて行って

「○○が倒された」
「恐れる事はない。○○は四天王の中でも最弱。次は俺が行こう」

みたいな感じの流れで、ラスボスにたどり着くまでの戦いだけで何年もかかるんですよ。

それがまさか、みんなまとめて出てくるとは…笑

ワンピースとか、ナルトとか、過去の人気マンガだったら
ひとつの決戦で1年はかかりますよ笑

もうこの展開の速さね、これもある意味、今の時代に合っているのかもしれません。

鬼滅大ヒットに学ぶ

この鬼滅の刃大ヒットから、私たちが学ぶべき事は何か?
私たちの人生や、ビジネスにどう生かしていけば良いか?

最後はそれについてお話しします。

動画の良さを活かす

ひとつは「動画の良さを活かす」ということです。

文字や静止画に比べて、動画やアニメというのは何十倍、何百倍の情報量を持っており、それだけ人をひきつける引力も強いです。

例えば、
文字情報をスライドで表示させて説明しているスクリーンと、
誰かが顔を出して話している動画を流したスクリーンでは、
圧倒的に後者の方が観られます。

ただ、これは単純に動画にすれば良いというわけではありません。
動画には動画の良さ、動画特有の表現、
YouTubeにはYouTube特有の表現、
アニメにはアニメ特有の表現があります。

例えば、
鬼滅の刃のアニメが、マンガを忠実に再現しようとするものだったら、
これほどヒットすることはなかったと思われます。

原作を大切にしつつも、
アニメ、動画の良さをうまく生かしていけたから、
ファン層を拡大することができ、これだけ多くの人に受け入れられたのだと思います。

『ヒットの王道』を見つける

鬼滅の刃の世界では、新撰組をモデルとした鬼殺隊が活躍し、
人気を博しました。

新撰組は100年以上人気がある、ヒットの王道、テンプレとも言える存在です。

新撰組という『ヒットの王道』をうまく使ったことによって、
新撰組ファン、ブリーチファン、銀魂ファンなども取り込んで
指示を拡大することができたのではないかと思います。

あなたのビジネスにもきっと応用できると思います。

ヒットする枠組みをゼロからつくり上げるのではなく、
過去のヒット作を分析して、
そこから『ヒットの王道』を見つけ出して応用する。

それが成功への近道です。

展開は早くする

毎日、たくさんの情報が洪水のように押し寄せてくる現代社会では、
人々がじっくり、粘り強く情報を観てくれるとは思わない方がいいです。

情報は一瞬で判断され、
興味がない情報はさっとスワイプされてしまいます。

私たちはちょっと前までは
お菓子やら飲み物やらを用意してテレビの前に座って、
2時間の映画を楽しむとか、
半日かけてのんびり本を読むとか、
そういう情報の受け止め方をしていましたが、
今は30分の動画でも長く感じます。

じっくり観てもらう前提の情報発信ではなく、
情報はできるだけ凝縮して、楽しさやメリットを詰め込んで発信するようにしましょう。