「せやろがいおじさん」って知っているだろうか?
沖縄の海をバックに赤いTシャツに赤フンドシ姿で、社会問題について一言物申す動画がSNSで拡散されて人気を博した。
奈良県出身、沖縄県在住の芸人さんなんだそう。
まぁ私も社会問題について物申すという点では、
ジャンル的には多少かぶっているところがあるというか、
おもしろくない「せやろがいおじさん」みたいな感じかもしれない。
そのせやろがいおじさんが最近
「マスクの色を指定している学校があるけど、マスクのいろなんてどーでもえーやろ!」
みたいな動画を出した。
このご時世にね、
「マスクの色は白と校則で決められています。
だから白のマスクじゃないとダメ」
という学校があると。
私は元教員なので、もちろんこういうことがあるというのはわかりっていた。
前、ニュースにもなっていた。
まぁニュースにもなっていたので、今はさすがにそのキマリは撤回した学校も多いんじゃないかと思う。
まぁでもあった、確かに。
「マスクは白じゃなきゃダメ」と言っていた学校。
皆さんどう思うだろうか?
私は元教員として、
どう思うかというと…
もうめちゃくちゃ怒っている
絶対ね、せやろがいおじさんよりも、私の方が怒りは100倍ぐらい深い。
マスクは白じゃないといけないなんて、
ホントに考えてることがくだらない。
でもね、これね、
マスクだけじゃなくて、一事が万事そうなのだ。
マスクは一例にすぎない。
そういう個別の事例が問題なんじゃなくて、
キマリを運用する教員側の考え方が問題。
キマリの良い悪いを検証、検討せず、
キマリを守ることを最優先で考える教員が一定数いる。
時代とか、世間の常識から外れてても関係ない。
そういう教員が教育をリードする立場にいる。
それがめちゃくちゃ問題。
マスク問題
医学的にはマスクは予防効果はないと言われているが、
人にうつさない効果はあると言われている。
だから、学校みたいに人が密集するところでは、
基本マスクを付けさせないとすぐにクラスターが発生する。
しかも、若者は無自覚の人も多く、
特に子どもは38度ぐらい熱があっても自分で気づかない子も時々いる。
だから、学校に来る時は必ずマスクを付けさせる。
それが生徒の安心安全を守るために、
学校がやるべきことだし、数少ないやれることの一つなんだから、
もうそれは最優先事項だろう。
でも、きっと3月とか4月の職員会議でこんな話題が出ていただろう。
もう10年以上教員として勤務していたので、目に見えてわかる。
「校則ではマスクは白と規定されていますが、その点はどうしましょうか?」「それについては生活指導部の方でも検討したんですが…」
どーだーこーだ…
もう、そんなことマジメな顔して話し合ってる時間がもったいない。
まずは子どもの安心安全、そして学ぶ機会の保証。
そこが最優先でしょうが。
マスク問題なんて話し合わなくていいよ。
「そりゃOKでしょ、以上」でいいじゃん。
そしてきっとね、こういう対処をした学校も多いと思う。
「マスクは基本白とする。
ただし緊急時や手に入らない場合などはその限りではない」
もう、行政的!!!!!
自分たちの主張は基本間違ってない、でも特例もあるだろうから、それだけは認めてやろうという訳のわからないプライドと意地。
もし、あなたのお子さんの学校が「保護者の皆様へ」とか言って
こういうプリント出してきたとしたら、ヤバイ。
兎にも角にもキマリを守ることを優先させたがる人がいるってことだ。
靴下問題
これと同じような問題って、実はたくさんある。
下着は白、靴下は白、靴は白、カバンは黒、髪は黒、男子の長髪はダメ。
鉛筆じゃないといけない、掃除中しゃべっちゃいけない、シャツの裾は出しちゃいけない…みたいな。
私が、その中でもっともくだらない、矛盾していると思うのは靴下に関する規則。
白のソックスなんて、最近は若者の間で流行っているが、
ビジネスマナーではNGとされている。
なのになぜか学校だと推奨される。
そもそもそういうことを知らない先生も多く、普通に白い靴下を履いている男性の先生も多い。
あと、「くるぶしソックス禁止」という学校も多い。
「なぜ禁止なのか?」と聞いたら、
「くるぶしを守るため」
と言われたことがある。
あんな布切れ一枚でくるぶしが守れる?
本気で考えてるなら、靴下の生地に期待しすぎだ。
しかも、「体育の時はジャージの着用不可」とか言って、
膝や肘は丸出しにさせているのに。
くるぶしって何?
そこ押されたら死ぬぐらいの物なのか?
そもそもスポーツメーカーだって、くるぶしソックスを出しているし、
もともとは陸上選手がはき始めたのがスタートだと聞いたこともある。
プロのアスリートたちですら、
くるぶしを露出して運動しているのに、
なぜ普通に中学校生活を送る上で、そこまでくるぶしを過剰に守り通そうとする意味がわからない。
荷物持ち帰り問題
もうひとつくだらないキマリと言えば、
「教科書やノートは持ち帰らないといけない」というキマリ。
置いていって良いと決められたものもあるが、基本的に教科書やノートを毎日持ち帰り、次の日持ってくるというキマリである。
こんなんやってたら、荷物はめちゃくちゃ増えるし、
めちゃくちゃ重くなる。
民間の調べによると、ランドセルも入れた荷物の重さは平均で6キロ。
中には10キロ以上になる子もいるという。
これはあまりにもかわいそうだし、
子どもの発育にも悪いと考え、私は毎年毎年職員会議で
「荷物の持ち帰りは負担だから、できるだけ減らしてあげたい」
と提案していた。
でも、その度に言われたのが
「教科書は持ち帰らないといけないでしょ」
「教科書を置いていったら勉強しなくなる」
という理屈である。
じゃあ聞くけど、あなたは教科書を使って予習復讐していたのか?
そういう人もいるだろうが、塾の勉強とか、
自分で買ったワークとかを使って勉強している人も多かったはずだ。
今だったらタブレットひとつあれば勉強はできるので、
教科書にそこまで重きを置いている人は少ない。
また、勉強しない子は、家に持ち帰っても勉強なんてしない。
というか、多分、こっそり置いていっている。
だから、勉強する子は、毎日辛い思いをして持ち帰るけど、結局家では違うものを使って勉強している。
勉強しない子はこっそり置いていくか、持って帰っても勉強しない。
なのに、毎日、くっそ重たい荷物を持ち帰らせるという意味のない行為を
学校は何十年も強行してきたのだ。
でも、こういう話をしても、
変わった学校はひとつもなかった。
そして、ついに2018年9月に文科省が通知を出した。
「置いてってもいいじゃん」と。
ホント、その通知見てどんな顔してたか、ぜひツラを拝んでやりたいところだったが、
私はその時にはすでに退職していたので、残念ながらそれは叶わなかった。
キマリなんて変えていい
マスクの話からはちょっと逸れてしまったが、
学校はホント、一事が万事そんな感じ。
変なキマリでもなんでも守ろうとする人、
守ることが目的になっている人がいる。
キマリなんてドンドン変えていいし、
変わっていかなきゃいけない。
ここ数年でできたキマリですらも
今ではもう通用しなくなっているものも多いはずだ。
マスクに限らず、ぜひ柔軟に対応していってほしい。