まだオリンピックやるつもりなの?
そう思っている方も多いと思います。
私は2020年7月の段階から
「オリンピック開催は不可能」
と予測してきました。
オリンピックの延期とか中止って
私たちの世代にとってははじめてのことですが、
これまでの歴史の中では
中止になったオリンピックもあります。
今、私たちはその歴史に学ぶべきだと思います。
今回は
元社会科教師の私が
『中止になったオリンピックの歴史』を
まとめてお伝えします。
最後の方では、2021年オリンピック、
本当に開催できるの?という話もしますので、
ぜひ最後までご覧ください。
このチャンネルは元中学校教師で
今は社会系YouTuberとして情報発信している私が、
知らないと困る社会問題や世界情勢などについて、
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オリンピックの歴史
そもそもオリンピックの起源は古代ギリシアにさかのぼります。
ギリシアのオリンピアというところで、
ギリシア神話の神『ゼウス』に捧げる祭典としてはじまったそうです。
当時から4年に1度開催されていたようです。
これが中止になったのが西暦392年。
ローマ時代です。
なんで中止になったのか?
これがおもしろいんですよ。
なんと、キリスト教のせいなんです。
この年、ローマ帝国はキリスト教を国教に定めます。
これは皆さん、覚えておいてほしいんですが、
キリスト教、ユダヤ教、イスラム教は
『一神教』といって
「世界で唯一の神は我々が信じている神だけである」
という考えなんですね。
なので、ローマでもギリシアでもギリシアの神々への信仰は禁止されます。
そして、ゼウスに捧げる祭典であった
オリンピックも禁止されてしまったんです。
このオリンピックが復活したのが1500年後。
1896年にフランスの教育者ピエール・ド・クーベルタン男爵が復活させます。
ヨーロッパではキリスト教によってギリシア文明が否定された後も、
古代ギリシア文明に対する憧れみたいな思想はずっと残っていたんですね。
その運動のひとつがルネッサンスです。
クーベルタン男爵はルネサンスよりもずっと後の人なんですが、
古代ギリシア文明が好きで、
その精神を復活させようと考え、
平和の祭典として近代オリンピックを復活させました。
第一回オリンピックはギリシアのアテネで開催されて、
女人禁制だったそうです。
中止になったオリンピック
というのが、近代オリンピックの起源なんですが、
ここからはその中で中止になったオリンピックについてのお話です。
先ほどお話ししたような経緯で
復活したオリンピックですが、
①アテネ(1896)
②パリ(1900)
③セントルイス(1904)
④アテネ(1906)
⑤ロンドン(1908)
⑥ストックホルム(1912)
と順調に開催されます。
1916年 ベルリン五輪
そして、1912年、次の大会開催地としてドイツのベルリンが選ばれます。
さあ次は1916年、ベルリン大会だ!
というその時、問題が起こります。
それが1914年、第一次世界大戦です。
1914年に、サラエボを訪れていたオーストリアの皇太子が
暗殺された『サラエボ事件』を機に起こった大戦です。
それまでの戦争は、戦場で、傭兵や職業軍人が
ドーンとぶつかるだけの戦争だったんですが、
この頃から科学技術が発展したことによって戦争の規模は拡大し、
国民も、国家体制も総出で、総力を上げて戦う『総力戦』に
戦争の形が変わったと言われています。
ドイツはもちろん戦争が起こるまでは
皇帝ウィルヘルム2世(Wilhelm II)が威信をかけて
開催準備をしていました。
スタジアム建設とか、施設の準備も進められ、
1914年、大戦直前にはテストイベントなども
もしていたようです。
そんなタイミングで第一次世界大戦が起こり、
この大会は中止になります。
ドイツは戦争の張本人ですからね。
次の第7回大会は、第1次世界大戦で大きな被害を受けた
ベルギーのアントワープで1920年に行われました。
まさに復興五輪だったわけですね。
ちなみに敗戦国のドイツは参加できませんでした。
これがはじめての中止。
1940年 東京五輪
続いての中止は1940年、東京オリンピックです。
『歴史は80年周期で巡る』という説があるんですが、
この東京オリンピックはちょうど今から80年前に予定されていたもので、
しかもこのオリンピックも
『復興五輪』と位置付けられていました。
何からの復興かというと、1923年に起こった『関東大震災』です。
日本は1923年に関東大震災で大きな被害を受けましたが、
そこから復活した復興の証として、
このオリンピックを位置付けていたんです。
すごい偶然なのか、歴史は本当に巡っているのか、
わかりませんが、とにかくそう考えられていた。
ところが、
1937年に『盧溝橋事件』が起こり、
それをきっかけにして日本と中国の間で『日中戦争』が起こります。
で、それに対して国際社会から非難の声が上がり、
国内でも「こりゃあもうオリンピックなんてやってる場合じゃない」
という声が高まり、
結局1938年には東京は開催地を降ります。
そして、代わりにフィンランドのヘルシンキでやろうかということになりますが、
ソ連がフィンランドに侵攻。
結局、第12回大会は中止が決定します。
1944年 ロンドン五輪
最後に中止になったのは1944年、ロンドン大会です。
東京大会の次がロンドン大会だったんですが、
2大会連続で中止。
理由はもちろん、第二次世界大戦です。
1939年7月、チャーチル首相の働きで、
1944年ロンドンオリンピックが決まります。
しかし!そのなんと2ヶ月後に、
第二次世界大戦がはじまってしまい、
結局、大会は中止になってしまうんですね。
第二次世界大戦は、1939年にヒトラー率いるナチスドイツが、
ポーランドに侵攻したことをきっかけにはじまった大戦です。
当時、アジアでは日中戦争が起こり、それが拡大して大東亜戦争
と呼ばれるようになります。
戦後はこれを太平洋戦争と呼ぶようになりました。
それと並行して
ヨーロッパで起こっていた大戦を第二次世界大戦といいます。
そして戦争が終わったのが1945年。
その3年後に、改めてロンドン五輪が開催されました。
敗戦国のドイツと日本は参加できませんでした。
延期になったのははじめて!
そして、それから約75年。
2020年3月24日に東京オリンピックの延期が発表されました。
2020年7月から開始予定だったので、
わずか3ヶ月前という異例の直前発表です。
実は近代オリンピックが延期になったのは、
これが史上初だそうです。
今のところ、2021年7月23日から開催予定とされています。
2021年 五輪開催は可能か?
そんな中ですが、
2021年に入ってからもコロナの感染の勢いは収まっていません。
イギリスでは変異種が発見され、ヨーロッパ、アメリカ中心に感染拡大が止まらない状況、
日本も感染爆発といえるような状況になってきました。
そのような状況を受けて組織委員会の森喜朗会長は
大会開催について「不安? 全くありません」
「やるのは7月でしょ。今、オリンピックの準備は、
ほとんど全部できている」と発言したということで
波紋を呼んでいます。
自民党の二階俊博幹事長も
「自民党として、開催促進の決議をしても良いくらいに思っている」
「開催しないということのお考えを聞いてみたいぐらいだ」
と、強気の発言。
菅総理も「予定通り開催を目指す」と言っています。
でも日本の指導者たちはまるで神風を信じる軍国主義者のように
敗北は全く考えていません、日本の勝利しか考えていません、
もしもの時のことなんて考える必要もありません。
中止なんて微塵も考えていません。
検討すらしていません、と言い続けています。
そんな中で、
IOCの委員の方から疑問視する声も上がってきています。
私は2020年7月から無理だと言ってきました。
強行してもいいことはひとつもないし、
そもそもこんな状況で外国が日本に選手団を送ってくれるのかもわからない。
なので、私は改めて、
オリンピック開催は無理ですよ、と。
みなさんその前提で、仕事や生活の準備をしていきましょうねと。
そう改めてみなさんにお伝えしておきたいと思います。