部活動をぶっ壊す!

 

というわけで、皆さん、部活動、なくしましょう。
部活を無くさないと日本社会は絶対に良くなりませんよ。

 

え、元教師がいきなり何言ってんの?と。
部活でがんばってから今の私があるのよと。

そう思う方も多いでしょう。

 

でもね、部活って非常に制度的にも欠陥だらけだし、
今や学校教育に与える悪い影響の方が多い。

そういうシステムなんです。

いくら少人数制にしてもIT化を進めても
部活がある限り、
抜本的には学校は変わらないですよ。

教育を変えたければ
まず部活をなんとかすべきです。

 

私は元公立中学校の教員で10年以上、
教育現場で指導してきましたが、
今日の話はその経験をもとに確信を持って言えることです。

本気でこの問題について話し出すと
平気で30時間ぐらいかかってしまうので、
今回はなるべくかいつまんで、
15分ぐらいで皆さんにお伝えしたいと思います。

 

ということで今回はなぜ部活動を
ぶっ壊さなければならないのか?
何がそんなに問題なのか?

ということをお話ししていきたいと思います。

前半では部活動を取り巻く学校教育の現状。
後半ではじゃあどうしていくべきか?ということもお話しします。

最後までこの動画を観ていただけるとあなたも
日本の学校教育の問題点などについて理解することができると思います。

 

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それでは本題に入ります。

 

部活が教員を疲弊させている

まずは部活の顧問をやっている教員の
1日についてザッと紹介しますね。

中学校教員の1日

 

こんな感じの1日です。

これは盛っていませんからね。
皆さんの学生時代を振り返ってもらえれば
確かにこんな感じの先生が多かったと
ご理解いただけると思います。

平均すると多くの先生は大体ほぼ毎日12時間ぐらいは
学校にいると思います。

つまり、ほぼ毎日3〜4時間ほど残業。
そうすると、だいたい毎月60〜80時間ぐらい
残業していることになります。

これに加えて土日も部活があるのです。

そうすると、毎月100時間を超えてしまう軽く超えちゃいます。

ちなみに厚労省が定めている過労死ラインは
『月80時間』です。

 

死んでる。
もうほぼ死んでるよ、教員。

 

中学校の先生の多くは
毎月毎月、そして何年間にも渡って
過労死ラインを超えて働き続けているのです。

そしてその時間外勤務の多くは部活に充てられています。

 

制度的な欠陥

従業員が毎月毎月、何年間にも渡って
過労死ラインを超えて働いている。

一般企業の経営者だったら、自分の会社がこうなっていたらどう考えるでしょう?

「いや、これそもそも
 もともとの仕組みとか体制に無理があるんじゃないの?」

と考えるでしょう。

 

そう、なんです。
部活というのは、そもそも制度的に無理がある、
欠陥があるシステムなのです。

 

1)残業前提のシステム

まず、先ほど見てもらって分かる通り、
部活の活動時間は、
ほぼ教員の勤務時間外に設定されています。
皆さん、朝練とか、放課後とか、土日に活動してましたよね?

なぜかというと、教員の通常の勤務時間は、
授業や行事、会議だけでほぼ終わってしまうからです。

なので、そもそもスタート時点からして、
残業させる前提のシステムなんですよ。

 

2)ほぼ無償

そしてさらに問題なのは、
ほぼ無償で働かせていることです。

 

そして平日、時間外の部活指導に対しては、
給料は1円も出ません。

無償です。

それについては別の動画で詳しく解説していますが、
残業代は出さない代わりに、一律で給料にちょっと手当てが
上乗せされているのですが、本当に雀の涙程度の金額です。

土日の部活指導については、手当が出ますが、
1日働いて2,000円ぐらいしか出ません。
そんなものは交通費と、昼食代でほぼ消えます。

なので、ほぼ無償で働かされている状態なのです。

 

つまり、部活という制度は、

「教員がほぼ無償で、毎日のように、時間外で働く前提」

のものとに成り立っているシステムなのです。

異常だと思いませんか?
制度的な欠陥だと思いませんか?

 

もちろん、
民間企業でも休日出勤や残業は当たり前にあると思います。

しかし、
『あらかじめ』『毎日のように』残業が『設定』しなきゃ回らない、
しかも残業代払えない。

もしそういう事態になってしまったら、
まともな経営者だったら、なんとかしようとしますよね。

業務時間内に収まるようにするか、
もしくは従業員を増やしてシフト制にするか、
もしくはその部門をやめるか、
そうしないと社員が辞めてしまうからです。

 

でも教員は公務員という特性上辞めにくいし、
教員という仕事の特性上、裁判を起こしたりもしにくい。

だから、そのままになってしまっているのです。

 

誰かがもし本気になって訴訟起こしたら絶対勝てると思いますよ。
部活というのは、それくらい超絶ブラックな欠陥制度なのです。

 

部活が市場競争を阻害している

ということで、
部活という仕組みは欠陥制度であるということを説明しましたが、
実は社会的な側面から見ても、部活の悪影響は大きいです。

 

そのひとつとしてあげられるのが、
部活が、日本のスポーツ・文化教育の市場競争を阻害しているということです。

 

私は音楽と社会科、2つの教員免許を持っていて、
長年、吹奏楽部の顧問をやっていたので、
音楽家の知り合いも多いんですが、
ある音楽家の方がこう言っていました。

「日本は音楽教室を経営していくのが難しい。
 部活があるから」

これには2つの意味があって、
ひとつは小学校でピアノを習っていたような子が、
中学校に入ると部活で拘束されてしまうため、
辞めざるを得ない状況になってしまうということ。

もうひとつは、例えば、サックス教室をやろうと思っても、
音楽好きな子、楽器をやりたい子はみんな吹奏楽部に取られちゃう。
朝から晩まで、土日まで練習してるんだから、
サックス教室なんて通ってくれない。

ということです。

これは、
野球、テニス、卓球、バレー、バスケなどでも
同じことが言えます。

小学校でクラブチームに入っていた子も
中学校ではみんな部活に取られちゃう。

民間の指導者はそこに入り込む余地はほぼありません。

 

これって、自由主義経済としてどうなんですか?

 

野球教室にしろ、サッカー教室にしろ、
音楽教室にしろ、絵画教室にしろ、
本来は、親がお金払って、行かせるべきなんですよ。

なんで親が金払って行かせるべきところを
教員が無償で面倒見なきゃいけないんだと。

 

体操教室、ダンスレッスンなんかはそれで成り立ってるんだから。
民間でできることをなんでわざわざ学校がやるんだ、と。

学校という超巨大組織が障壁をつくっちゃってるから
誰も参入できない。

そこを解放してあげれば、民間のスポーツ教育とか、
文化教育事業がもっと盛り上がるんじゃないですか?

そして、市場競争が活発になれば、
大手が参入してきて、今よりも安く受けられるようにもなるんですよ。

 

しかも、例えば部活がなくなれば、
クラブチーム入る子も出てくるかもしれないし、
ダンスを習う子も出てくるかもしれない。
プログラミングスクールに通う子も出てくるかもしれない。

子どもにとっても選択肢の幅が広がるんです。

 

なので、部活が日本の文化・スポーツ教育の市場競争を阻害していて、
結果的に国民全体の不利益になってしまっているということです。

 

もちろん、部活は昔は必要なものだったと思います。

終戦直後なんかは日本の文化全体が荒廃していたので、
学校が文化やスポーツの拠点として、
貧しい子どもたちにもスポーツする機会を提供する、
そういう意味で部活は必要だったかもしれない。

先生方も、子どもたちのために
無償でがんばろうと、奉仕してきたかもしれない。

でも今はどうですか?

やろうと思えば誰でもスポーツ教室に通える時代ですよ。

 

もちろん、貧しい子どもたちもいるので、
そういう子たちに取っては必要かもしれない。

でも、その帳尻合わせを教員の無償労働で補わせるのはおかしいでしょ。

貧しい子どもたちを経済的に助けるのは
教員の仕事じゃなくて、行政、福祉の仕事でしょ。

塾に行けない子どもがいるから
教員が無償で、時間外に塾をやれって言ってるような物ですからね。

 

 

なぜ無くならないのか?

「もうわかった」

「部活が変なのはよくわかったよ」

「でも、そんな変な制度がなんでずっと残ってしまっているんだ?
 なんで無くならないんだ?」

そう疑問に思う方も多いでしょう。

最後にその理由について説明します。

 

1)生徒からの声

ひとつは生徒からの声です。

例えば、野球好きな子が野球部に入りました。
で、野球部なくなりますって言われました。

そりゃ嫌でしょ。
そんなん嫌に決まってますよね。

 

生徒がこんなにがんばってるのに、
生徒がこんなにやりたいと言っているのに、
生徒の気持ちを踏みにじって、
生徒の青春を台無しにして、部活を潰す気ですか!??

と、そういう声が聞こえてくるでしょうね。

 

教員としてはもちろんこれは辛い。
もちろん、生徒の気持ちを最優先に考えてあげたい。
だから、部活を簡単になくすことはできなかったのです。

 

2)保護者や地域からの声

もうひとつは、保護者や地域からの声。

実は今、少子化の影響の影響で
継続困難になっている部活がたくさんあります。

例えば、ある学校では昔は生徒が500人いたので、10個の部活がありました。
しかし、今は200人ぐらいになってしまったのですが、部活はそのまま10個残っています。

当然、教員=顧問の人数も減っているし、
部活ひとつ当たりに入る生徒数も減ってしまっている。

しかも、吹奏楽とか、バスケとか、テニスとか、卓球とか、
マンガの影響もあって、そういう人気の部活に人数が偏ってしまったりする。

逆に野球とかサッカーは練習がキツイというのと、
クラブチームが多いので、入部希望者が少ない。

そうすると、野球とかサッカーとか、
もう試合に出場するための人数が、足りないなんていう学校も結構あるんですよ。

私は静岡の清水の学校に勤務していたこともあるんですが、
清水といえば、サッカー大国静岡の、
しかもエスパルスのお膝元でしょう?

その清水ですら、サッカー部が廃部寸前の学校がたくさんあります。

それなのに、なかなかなくせないんです。
下手したら部員3人と顧問とかで活動しているような部活もあります。 

 

民間企業だったら、そこまで利用客が減ってしまったら、
いくらなんでもその部門は廃止しますよね?

でも部活はつぶせない。

なぜかというと、
地域や保護者の声があるからです。

 

「伝統ある○○中、サッカー部をなくすとは何事か!!??」

 

と、怒鳴り込んでくる保護者とか、地域住民がいるんです。
これ、冗談抜きで、本当にいるんですよ。

地元の有力者で、野球部OBとかでね、
「我が野球部を潰すなんてけしからん!」とか言って、
「知り合いの議員に言ってやる!!」とか言われるんですよ。

冗談みたいでしょ?

 

3)教員の中からの声

最後に、実は教員の中にも「部活賛成派」の教員はいるんです。

どういう人かというと、
ひとつは部活が生きがいの人。
もうひとつは教育困難校つまり荒れた学校とかで、部活が学校の治安を守っていると主張する人です。

まず、部活が生きがいの人について。
たぶんあなたの学校にも一人はいたと思います。
授業とかはテキトーなのに、部活ばかりやってる先生ね。

こういう先生は生徒とか保護者からはウケがいいんですよ。
自ら進んで無償奉仕してくれるわけですから、管理職からもウケはいい。

でも、私から言わせるとハッキリ言って迷惑です。
そんなにやりたければ、クラブチームでボランティアしてくださいと思う。

こういう人はだいたい声高に自分の意見を押し通すので、
例えば部活をやっちゃいけない期間に、校長から特別に許可をもらって部活をやったり、
終了時刻を守らなかったりします。

そして周りの先生が
「○○先生は、夜遅くまで部活をやってくれたのに、あの先生はやってくれない」とか言われるのです。

そこまでしてやりたいならば、学校外でやってくださいとしか言いようがない。

 

もうひとつの理由。
荒れた学校で、部活が学校の治安を守っているという意見。

これは確かにあるんですね。

部活が生きがいで学校に来ている生徒、
部活の顧問の言うことしか聞かない生徒、
確かにいます。

部活のおかげでそういう子が救われているのも事実。

 

でもそれはそれで問題でしょ?
と私は思いますけどね。

「じゃあ部活に頼るしかないね」じゃなくて、
授業も楽しくしていこうとか、
顧問じゃなくて指導できるようにしていこうとか、
また別の努力が必要なんじゃないかとそう思うわけです。

 

ということで、
今回は部活動を廃止せよ!というテーマで、
部活動が抱える問題点についてご紹介しました。