コロナは日本が変わるチャンス

 

そう言っている人がいます。

それはリンダ・グラットンさん。
ちょっと前にベストセラーになった本『ライフシフト 』
の著者リンダ・グラットンさんです。

 

そのリンダさんが、
アフターコロナの世界について語っている本を見つけたので、
今日はその本の一部を紹介したいと思います。

『コロナ後の世界』

という本で、
世界の賢者6人が、それぞれの専門分野、それぞれの視点から
アフターコロナについて考えた本です。

機会があれば他の人の
意見も紹介していきますね。

 

このブログでは「好きを仕事に自分らしく生きる」をテーマに、
ビジネスや自己啓発、社会システムに関する記事を配信しています。

ビジネスやこれからの社会について興味あるよという方は、
ぜひ定期的にご覧ください。

それからYouTube動画の高評価、コメントもよろしくお願いします。
あと最近ではYouTubeのサブチャンネル、TikTokもはじめていて、
そちらも大好評なのでぜひそちらのフォローもよろしくお願いします。

 

リンダ・グラットンさんとは?

リンダ・グラットンさんは、ロンドン・ビジネススクールの教授で
人材論・組織論の権威だそうです。

人生100年時代って聞いたことありますかね?

その言葉を提唱した人物で、
日本では『ワークシフト』『ライフシフト 』というベストセラーの著者として知られています。

 

意外とIT化できた

リンダさんは65歳なんですが、

「以前はSNSなど新しい技術を使えるのは若者だけだと思っていた」そうです。

 

それがコロナショックの中で

「私はあらゆるデジタル・プラットフォームを使って仕事ができるようになった」

と言っています。

すごいですね。
65才の彼女が。

コロナショックで一気にデジタル対応していったと。
やってみたら意外とできたと言っているんですね。

 

これ、日本の多くの皆さんもそうですよね。
ここからは私の意見ですが、

「IT化が進んでいる!」

そう思いつつも、多くの人は
世の中が変わるのは遠い未来の話だと思ってい他のではないでしょうか?

SNSやデジタル機器を使えるのは若者たちだけで
高齢者はもちろん、50代の方も自分とはあまり関係のないことだと思っていました。

 

それが、たった1ヶ月で世界が大きく変わり、
まさか自分がzoomでミーティングすることになるなんて。

半年前には誰も想像すらしていなかったですよね。

 

zoomミーティングだけではありません。

コロナをきっかけにYouTubeを見はじめた、
SNSをはじめたという人も多いようです。

逆にそれでテレビを見なくなったという人もいます。

また、リアルでは会ったこともない人と友達になったり、
連絡を取り合ったり、一緒に仕事をしたり、
そういうのもはじめて、という人もたくさんいます。

今までだったら
「オンラインだけでつながるなんて怖い」とか
「まずは会ってお話ししましょう」
とか言っていた人も多かったのではないでしょうか?

私のオンラインセミナーには
「zoom使うのはじめてなんです」
という方がたくさん参加してくれています。

zoom以外のオンラインツールや電子契約書などを
はじめて使ったという人もいるかもしれません。

 

日本はIT化の面において、
世界よりも15年遅れているなんて言われていますが、
コロナによって無理矢理IT化させられてみたら
「意外とできた」
という人も多いと思います。

 

もちろん、まだまだこれからもっと
IT化、デジタル化が進んでいくと思いますが、
やってみると意外とできてしまうんですね。

 

在宅ワークを続けたい

そういう状況の中で、リンダさんは

「以前のように出社して働きたいと思う人がいる反面、
 在宅ワークやフレキシブルな勤務形態を続けたいと思う人が増えている」

と言っています。

せっかくデジタル・スキルを身につけて、
自由な働き方ができるようになったんだから、
これからもデジタルでできることはデジタルでやりたいという考えです。

イギリスでは約30%の人が在宅ワークを続けたい
と考えているという調査結果もあるそうです。

つまり、働き方に関する価値観が大きく変わったんですね。

 

彼女は日本の現状についてもかなり詳しいんですが、

「日本は長時間労働で、生産性が低く、
 近未来的な働き方から最も遅れをとっていた。
 でも、コロナによって『働き方改革』を
 半強制的に成し遂げる『チャンス』を得た」

と言っています。

 

これは『働き方改革』という側面から考えるとチャンスなんだということです。

こういう考え方、すばらしいですよね本当。

「ピンチはチャンス」なんてよく言われますが、
どこをどうするチャンスなのか?
とても明確です。

こんなこと言うと不謹慎だと思われるかもしれませんが、
今だったら
「まぁこんなご時世なんで…」という一言で、
結構いろんな改革案が通りそうですよね。

例えば、在宅ワーク、フレックスタイム、ペーパーレス、キャッシュレスなど。

この辺は現場の労働者の側からも声をあげて
働き方改革を推し進めていけそう。

 

そして、彼女は
「これを追い風にできるか、
 逆行して戻ろうとするか。
 それは企業次第だ」

と言っています。

 

東京一極集中もネック

ただ、日本の場合、在宅ワークを進める上で
大きなハードルになっていることのひとつが
住宅環境だとリンダさんは指摘しています。

イギリスの場合、
そもそも家が広く、
都市部にもゆっくりくつろげる公園がたくさんある。

だから、在宅ワークでものびのびと仕事ができるそうです。

 

でも日本の場合はどうでしょうか?

狭い住宅、人が密集した街。
ずっと家にいると頭がおかしくなりそうだから
「オフィスで働きたい」という人もいるそうです。

確かに私もコンサルやセミナーを受けてくる方の中にも
「家だと家族がいて落ち着いて話せないから
 オンラインは嫌だ」
という人もいます。

これも海外のように広い家だったら
解決できる問題かもしれません。

 

なぜ日本がこういう問題を抱えているか?というと
それは「東京に一極集中しているから」とリンダさんは指摘します。

だから住宅も高くなるし、狭くなる。
だからもっと地方移住を進めればいい。

日本はこの問題もずっと解決できずにいたが、
今はそれを緩和するチャンスだとリンダさんは言っています。

 

人生100年時代ははじまっている

彼女の代表作『ライフシフト』の中で
彼女が言っているのは

「これから人生100年時代になる」

ということです。

 

人類の平均寿命は10年ごとに2年ずつ伸びています。

今30代の人のうち、半数は97歳まで生きます。
今10代の人のうち、半数は103歳まで生きます。

 

今はだいたい60歳で定年退職ですが、
100歳まで生きるとしたら、
引退してから40年も生きることになる。

 

でも今の社会の仕組みは、
60歳で定年退職して、
10年か20年ぐらい余生を楽しんで死んでいく、
というモデルケースをもとにつくられています。

だから、
これを変えていかないとけない。
働き方や人々の人生観を変化させていかないといけないと、
彼女の主張はおおよそこんな感じです。

 

健康なまま歳を重ねる

アフターコロナでもこの将来像に大きな変更はありませんが、
ひとつだけ注意しないといけないのが、
高齢者はウイルスによる死亡率が高いということです。

高齢者は若い人たちよりも気をつけないといけない。

特に糖尿病や高血圧など、基礎疾患がある人は重症化しやすいと
言われてしまいます。

高齢者で持病がある人は、
コロナがバーッと流行ったりすると
もう外に出ることが危険、という風になってしまう。

 

なので、これからの世の中、これまで以上に
『健康を保ちつつ歳を重ねる』ことが重要になる。
と彼女は指摘しています。

 

もし100歳まで生きるとしたら、
40歳で糖尿病を患ったら、
そこから60年間、その病気と付き合い続け、
ウイルスに対してもハイリスクなまま生き続けることになります。

これはかなり大変ですよね。

 

60代は現役世代

ということで、
人生100年時代の働き方に話を戻します。

昔は60代というと「お年寄り」でしたが、
今は身体面でも健康面でも見るとお年寄りではない。

と彼女は言っています。

 

そもそも「60代=お年寄り」というのは
もう40年50年前にできあがったイメージで、
古い指標のひとつでしかないんですよね。

生物学的に「ここからはお年寄りです」という区分があるわけではありません。

 

「今は70代半ばまで十分働き続けられる」
と彼女は言っています。

実際、リンダさんは65歳ですが、
まだまだ現役で働いています。

 

切実で、ネガティブな側面としては
60歳で定年退職してしまうと
その先40年食っていけないという現実もあります。

もちろん年金はある程度は出ますが、
現役時代40年間で、老後40年分の蓄えをするというのは
現実的に大変です。

なので、必然的にみんな60代以降も働き続けざるを得ない
ということになるということも彼女は言っています。

 

ただ彼女はポジティブな面に注目していこうと提唱しています。

70代半ばまで働けるということは、
自分の好きな仕事をしたり、チャレンジしたり、
人から感謝されたり、スキルアップしたり、
成長したりしていけるということでもあるよと。

決して「75歳まで耐える」というイメージではなく、
ワクワクしたイメージで捉えましょうと言っています。

 

これは雇う側の組織としてもメリットとなります。

経験やスキルを持った人材を確保できるからです。
また年齢構成がばらけたチームの方がうまくいくという調査もあるそうです。

これは私の意見ですが、
日本はこれからは人口の3分の1は高齢者になります。
そうすると、どんなビジネスでも高齢者層への
アプローチを考えざるを得ない。

そうすると、高齢者の目線からの意見というのは
企業にとっても必須になってくると思います。  

 

働き方をシフトせよ

そういう視点からしても、
日本の雇用システムの中で一番ネックになっているのは
『終身雇用制』だと彼女は指摘しています。

 

これは「教育・仕事・引退」という
旧来のライフステージを送る人のモデルで、
このモデルに当てはまらない人を、
労働市場から排除する仕組みでもあります。

 

例えば、
途中で辞めたり、
途中で入ったりすることをとても嫌います。

これが日本で女性が働きにくい理由のひとつです。

女性が出産によって休みたい、復帰したいとか、また休みたいとか
言われてしまうと、終身雇用制の会社からしたら
とても困ってしまうわけです。

ましてや男性が育児休暇を取りたいなんて
絶対言ってほしくない。

制度的に認めていても、
終身雇用制がある以上、
「じゃあその間の代わりはどうするんだ」という問題が
切実に発生してしまうのです。

 

このシステムのせいで日本は先進国中、
最も女性の地位が低い国のひとつになってしまっています。

高齢者も女性もとても優秀な働き手です。
それを労働市場から排除してしまうということは
ものすごい機会損失になります。

ましてや日本は移民が少なく、
高齢者が多いという状況の中なので
女性や高齢者を活用しない手はない、と彼女は提案しています。

 

柔軟な働き方を選べる仕組み

 女性や高齢者を活用していくためには
企業が社員の働き方に柔軟性を持たせ、
裁量権を与えるべきだと、リンダさんは提案しています。

そうですよね。

これまでは月〜金まで週5日、9:00~17:00で働くのが
当たり前と考えられていました。

でも、
午前中だけ働きたい人、
週3日だけ働きたい人、
長期休みを取りたい人、
家庭環境によっていろんな人います。

親の介護とか、育児とか、副業とか、
いろんなケースがあるでしょう。

なので、
これからは企業がこういうフレキシブルな働き方を認めていくこと。

もちろんそれは
女性だけでなく男性にとっても
メリットとなることです。

それが優秀な人材を確保することに
つながります。

 

ポストコロナ時代に重要な4つの要素

最後に、
ポストコロナの人生100年時代に重要な4つの要素として、
リンダさんは

透明性

共同創造

忍耐力

平静さ

の4つを挙げています。

 

透明性

リーダーが今何が起きていると判断しているか?
現状をどう把握し、どう対処していくのか、
従業員に詳しく説明していく必要があるということです。

先の見えない時代だからこそ、
透明性をもっていくことで、変な疑いや不安を減らせるということですね。

従業員側からすると自分が今取り組んでいる業務、
そしてその結果を明示するということも必要かもしれません。

 

共同創造

ロックダウンで隔離されていても、チームで議論し、
一人ひとりが自らの役割を果たしていくのが大切とのこと。

みんなでつくっていく時代ですね。

 

忍耐力

ロックダウンや自粛生活を耐え、

 

平静さ

そしてそういう状況の中でも精神の健康を保つ。

そういう精神状態を保つことも大事ですね。

 

 

ということで今回は「アフターコロナのライフシフト 」というテーマで、
「ライフシフト 」の著者リンダ・グラットンさんが見るアフターコロナについてお送りしました。