みなさん、中国というとどういうイメージがありますか?

日本人はいまだに中国のことを
野蛮な国だと思っている人が多いと思います。

しかし、残念ながら、
日本と中国の経済力、デジタル分野での競争力は
ここ20年の間に残念ながら完全に逆転してしまっています。
もう完敗状態です。

今、世界の経済やIT分野を下から押し上げているのは
間違いなく中国のテック企業ですよ。

もうその伸びはアメリカが誇る世界的大企業
GAFAの喉元に迫る勢いなのです。

 

今、中国企業がどれくらいすごい勢いで伸びていて、
どんなことをしているか?

ここを理解しないと、
今の世界情勢は読めないんですね。

今、米中の対立、経済戦争が激化していますが、
なんでそうなっているのか?
その辺のことも、中国のテック企業についての知らないと、
本質的な部分は理解できないと思います。

 

ということで今回は
「覇権を狙う中国テック企業」というテーマでお送りします。

最後の方では今話題のTikTokについても取り上げます。

 

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GAFAの喉元に迫る中国企業

まずはじめに、中国企業の勢いがどれだけすごいか?
という話なんですけど、

その指標として、
世界の企業の株式時価総額ランキングというランキンングがあります。

それによると2020年6月の時点の結果は
以下の通りです。

世界時価総額ランキング(2020年6月)

1位 サウジアラムコ 17兆ドル
2位 アップル 15兆ドル
3位 マイクロソフト 15兆ドル
4位 アマゾン 13兆ドル
5位 アルファベット(Google) 9兆ドル
6位 フェイスブック 6兆ドル
7位 テンセント 6兆ドル
8位 アリババ 6兆ドル

 

第一位はサウジアラビアの国有石油会社なので、
飛び抜けていますが、
2位〜6位まではすべてアメリカ企業です。
GAFAとマイクロソフト。
さすがですね。

あ〜やっぱアメリカ強いんだな、と思うのも束の間。

7、8位に中国企業が食い込んでるんですね。
しかも、Facebookとほぼ横並び。
抜いたり抜かれたりしています。

 

これはアメリカ的には脅威ですよね。
今まで発展途上国だと思って、
余裕かまして留学生とかバンバン受け入れてたら、
いつの間にかアメリカが誇る大企業のすぐ横に中国企業が並んでた。

ここに載っていない
アメリカ企業はみんな抜かれちゃってるわけですから。

ちなみに日本の1位は、
トヨタなんですが、トヨタは46位です。

もう後ろすぎてどこにいるかわからない状態。

 

この衝撃わかります?

創業わずか20年の会社が、
アメリカや日本が今まで何十年もかけてコツコツ、チマチマと蓄積してきた
富や資本を一気に追い抜いて
世界の最前列に躍り出ているんですよ。

これ、ものすごいことです。

 

今、中国企業はこんな感じで伸びまくっていて、
まさにGAFAの、アメリカの喉元に手を伸ばそうとしている状態なんですね。

 

中国の4大テック企業BATH

そしてその中国企業を牽引する
中国の4大テック企業を、その頭文字をとってBATHといいます。

BATHとは、

B:バイドゥ

A:アリババ

T:テンセント

H:ハーウェイ

の4つです。

 

日本人が一番耳にしているのハーウェイですかね。
その他の企業については聞いたことがない人も多いかもしれません。

詳しくは後で解説しますが、
ハーウェイはいろいろ問題になっているので、
ここから外して、BATと言ったり、
バイドゥも最近勢いがなくなっているので外したほうがいいと言われていたりしますが、
とりあえず、覚えておいてそんはないと思います。

ということで、
この4大企業について解説していきます。

 

バイドゥ

まずはバイドゥ(百度/Baidu)から。

中国ではGoogle、Facebook、Twitterが使えないっていう話は
みなさん聞いたことがあると思いますが、
じゃあ、中国の人は何で検索しているかというと、
バイドゥで検索しています。

中国版Googleですね。
世界シェアでいうと、Google、Yahoo!に継ぐ検索エンジンです。

検索エンジンの他にも文字入力システム、Map(Googleマップみたいなもの)、
百度百科(バイドゥ・バイクー)というWikipedia的なものも
サービスとして打ち出しています。

この企業、ネットに詳しい人なら聞いたことがあるかもしれませんが、
セキュリティ上の問題もいろいろささやかれています。

また、中国共産党の検閲がガチガチにかかっているんですが、
中国ではGoogleが使えないので多くの人は仕方なく使っているようですね。

最近は事業拡大とか投資の失敗もあり、
BATH企業の中でもあまり伸びていないようです。

 

アリババ

続いて、アリババ(阿里巴巴/Alibaba)

これはすごいです。
次に紹介するテンセントと並んで、中国テック企業の二大巨頭ですね。

一番メインのサービスとしては「タオバオ」という
ネットショップ、ECサイトを運営しています。

大まかなイメージとしては中国のAmazonですね。
が、この企業のすごいのは中国社会そのものを変えつつあるところです。

日本人の中国に対するイメージって、
マナーが悪い、粗悪な製品、危険、汚いとか、
そういうイメージじゃないですか?

これって、中国人も感じていて、
問題視している人も多かったんですよ。

ネットショッピングの分野で言うと、
注文しても物が届かないとか、
変な物が届くとか。
そこが中国のネットショッピング業界の大きな壁になっていた。

そこで、アリババは

タオパオの決済システムとして、
独自の決済サービス「Alipay(アリペイ)」

を開発したんですね。
Alipayは日本でも使われていますね。

アリババは決済システムを作ったことにより、
もし商品が届かなかったら、
お金は返すよということができた。

つまり、
ネットショップと決済サービスを
セットで提供することによって、
信頼を勝ち得たわけです。

そして、もうひとつ。
芝麻信用(ジーマ信用/Sesame Credit)という
信用スコアを数値化するシステムもつくった。

これによって、
ユーザーの信用度を数値化しました。

これによってネットショップの信用度が増したのはもちろん、
このシステムが中国社会の中で広くいろんなところで
使われるようになって、中国人全体のマナーが向上しているというんですよ。

まさに社会を変えたイノベーションです。

アリババグループのトップは
貧しい英語教師だったジャック・マーという人。

外交的でスピーチの天才。
叩き上げでゼロから起業して、
大企業を作り上げました。

 

テンセント

続いて、テンセント。

テンセント(腾讯/Tencent)

アリババと並ぶ中国テック企業の二大巨頭です。
テンセントをつくったのは、ポニー・マー。

アリババのジャック・マーと並び、
「二人のマー」と言われますが、
性格は対照的で、エンジニア出身の内向的な人だそうです。

 

テンセントのサービスで一番有名なのは
WeChatです。

世界で11億人以上が使うアプリ。
日本でいうと、LINEぐらい普及しているサービスです。

が、LINEとFacebookとTwitterとすべてを内包したようなサービスだそうです。
友だちとも繋がるし、名刺交換の代わりに繋がるし、
DMで個人的な連絡のやり取りもするし、情報発信もする。

日本人が、LINE、Facebook、Twitterと分けてやってることを
中国人はすべてこのアプリでやる。

さらにこのアプリはミニプログラムと呼ばれるアプリ内アプリが充実していることも特徴です。
LINEもLINEニュースだったり、LINEペイだったり、
いろいろあるじゃないですか?

あんな感じですね。

その中でも特にWechatPayの勢いがすごくて、
Alipayに迫る勢いだそうです。
Alipayはショッピングで使われるのが多いのに対して、
WechatPayは食事代の割り勘とか、
お小遣いあげるとか、個人間の支払いとかそういう場面でよく使われるそうです。

中国人は現金を持ちあるかいないと言いますからね。
日本人が現金でやりとりしているのを、
中国人はすべてWechat Payでやりとりしている感じです。

 

テンセントは他にも
eスポーツ、ネットゲーム、アニメ、映画などの業界にも進出していて、
ハリウッドの映画会社や日本のゲーム会社とも提携しているそうです。

このゲーム事業がコロナ禍でめちゃくちゃ伸びたそうです。

 

ファーウェイ

最後はファーウェイ(華為/Huawei)です。

主な事業は携帯の基地局(インフラ事業)、モバイルWi-Fi、
そして有名なのはスマホですね。

上場していないので時価総額ランキングには載っていませんが、
売上高はアリババとテンセントの合計よりを上回っているそうです。

しかもなんと、2019年のスマホの売り上げはAppleよりも多いです。

 

これに対してアメリカは、ファーウェイのスマホにスパイ機能が組み込まれているとして
ファーウェイへの半導体輸出を禁止して、サプライチェーンを断ち切りました。

そして、政府機関での使用も禁止。
携帯事業者への補助金を止めるなどして
なんとか国内市場から排除しようとしています。

最近ではイギリスにも圧力をかけて、
イギリスやEUから市場からも締め出そうとしている。

日本では禁止はされていませんが、
官公庁では使用しない方針だそうです。

じゃあ結局、本当に情報が抜き取られているかということですが、
少なくとも日本国内ではそれについてはまだ解明はされていません。

 

バイトダンス

ということで、以上が中国の四大テック企業BATHと呼ばれる4つの企業でしたが、
もうひとつ、絶対覚えておいてほしい企業があります。

それはバイトダンス(字節跳動/ByteDance)です。

ハイドゥは今勢いが無くなっているので、
代わりのBとしてバイトダンスを入れたほうがいいんじゃないかと私は思っています。

この会社は今話題の
TikTok(Douyin(抖音))の運営会社です。

TikTokは世界で20億回ダウンロードされていて、
おそらく今アメリカで一番人気のあるアプリだと思います。

アメリカの中高生はみんなTikTok使っているそうです。

このバイトダンス社は世界のユニコーン企業、
つまりベンチャー企業のランキングで
ウーバーやエアビーアンドビーを抑えて1位に輝いています。

世界のユニコーン企業
企業価値ランキング(2019年9月)
1位: バイトダンス(Bytedance) 企業価値:750億ドル(中国)
2位:ウーバー(Uber)企業価値:720億ドル (アメリカ)
3位:ディディチューシン滴滴出行(Didi Chuxing)企業価値:560億ドル(中国)
4位:ウィーワーク(We Company)企業価値:470億ドル(アメリカ)
5位:エアビーアンドビー(Airbnb)企業価値:293億ドル(アメリカ)

バイトダンスはスタートアップからの伸び率、成長速度でいうと、
今あげたすべての企業、GAFAもBATHなんか目じゃないぐらいの勢いで伸びています。

 

バイトダンスの画期的なところは、
先ほど紹介した四大企業はすべて中国版GAFAなんですね。

つまり、
Googleの代わりにバイドゥ
アマゾンの代わりにアリババ
Facebookの代わりにテンセント
アップルの代わりにハーウェイ

基本、模倣からはじまって、
それを凌駕する巨大サービスに拡大していった。
シリコンバレーのテックを模倣して
中華圏で拡大したサービスなんです。

ところが、
TikTokはショートムービーSNSという未開拓の分野を開拓した。
そして、中国生まれのサービスとして初めて、
世界中に進出していったサービスなんですね。

 

そういう勢いをもったサービスなので、
今世界中で警戒されている、
少なからずそういう側面もあるんですね。

なんでかっていうと、
TikTokに対する懸念っていうのは
今のところ懸念でしかないんです。

実際に中国共産党が情報を抜き取ってるということは誰も証明していないし、
もちろんバイトダンスもそんなのは否定しています。
だから、今のところ
「中国共産党と関わりがあるんじゃないか?」という懸念でしかない。

その懸念を払拭するために、
バイトダンスはDisnyグループの幹部だったケビン・マイヤーを
CEOとして招いたり、
サーバーはシンガポールに置いたり、
本社をロンドンに移したりして、なんとか疑惑を解こうとしている。

今、TikTokはそういう状況にあります。

 

日本人はこういうBATH企業の大躍進とか、
TokTokの勢いをとかを理解していないので、
アメリカが「TikTokを禁止するぞ!」と脅しをかければ
「それは怖い!なんとかしなきゃ」とガクガク震えちゃうわけですね。

政府筆頭に。

そうじゃなくて、
これはある種の経済戦争なんですよ。

中国テック企業の勢いがあまりにもすごく。
中でもTikTokなんてアメリカにまで進出してきやがった。

ということで、
今のうちにぶっ潰しておこうと。

そういう経済戦争、覇権の取り合いが起こってるんですね。

 

TikTokの件についても
こういうマクロの視点から考えていくことが大切だと思います。