コロナショックでさまざまな業界が大ダメージを受けていますが、
特にひどいのは旅行・観光業界・航空業界ですよね。

回復までに2〜3年かかると言われていて、
絶望的な雰囲気すらも漂っているように思います。

が、各業界の未来について私が
いろいろ調べていく中で、
「いや、もしかしたら観光業界なんとかなるかもしれないな」
という希望も少しだけ見えてきました。

ので、今回は「観光業界を救う3つのヒント」
ということでお送りいたします。

今回は観光業についての話なんですけど、
これね、その他の業界の人にとってもかなり応用可能な話になっていますので、
ぜひ自分の仕事に置き換えてご覧いただけたらなと思います。

また最後の方では再開するにあたっての注意点などについても
お伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

観光業界の大打撃

まず最初に、観光業界がどれくらいの被害を受けたかというと、
4月の時点で国内のホテルの稼働率は全国平均で30%。

大都市だと20%ぐらい。
観光地だと1桁というところもあるようです。

東日本大震災の時ですら60%ぐらいだったので、
その時のさらに半分ぐらいになってしまっている。

外国人観光客については、3〜4月の時点で90%以上減少。

そうすると、
観光業界全体が売上70〜90%ぐらい減少してるんじゃないかと、
そんな感じですね。

月収20万の人が、月収5万になっちゃうようなもんですからね。
もう家賃すらも払えなくなるレベルですよね。

世界的にもこの状況は同じです。

世界の航空業界は4〜6月の航空乗客数が70%減少。
このままだと全世界で2500万人の航空業界関係者が失業するそうです。

国連世界観光機関によれば、新型コロナウイルスの影響で2020年の世界の観光客数は6~8割減少する見通し。
こちらも、旅行業界全体で7500万人が失業する可能性があるという調査もあります。

回復まで数年はかかる?

世界各国で行われている移動制限について、
6月から順次、緩和されていく流れになっています。

EUでは、6月からEU加盟国内での行き来は順次解除されていて、
7月からはその他の国からの入国も徐々に緩和していくそうです。

じゃあ、夏ぐらいまでにはなんとか客足も回復してくるかな?
というと、それはどうやら無理そうだというのが専門家の意見です。

今年の夏の観光はもう壊滅的ではないかと言われています。

例えば、観光大国スイスでは今夏のホテル稼働率は20%〜40%と予想されています。
そうすると、観光関連企業の4分の1が潰れるのではないかとさえ言われています。

では今年の夏は無理として、
じゃあ、来年ぐらいまで持ち堪えればなんとかなりそうなのかというと、
そういう訳でもない。

観光客の客足や観光業が受けたダメージを回復するには数年を要すると言われているんですね。
9.11の時にはアメリカの旅行需要が回復するまでに2〜3年かかったそうです。

つまり、よくて売上8割、悪いところでは売上半分の状態で、
ここ数年は耐え忍ばなければならない。

そんなに長期間持ち堪えられる企業がどれくらいあるのか?
という感じです。

なので下手したらここ数年のうちに
世界の観光業界関連企業の半分ぐらいは潰れてしまうのではないか?
とも思います。

いまだにコロナショックのまっただ中にありアメリカでは、業界団体を中心としてガイドラインを作成するなどして、安全性をアピールしています。
が、ガイドラインが出たところでって感じですよね。

今更、「当社では手洗い消毒を徹底しています」と言われても、
「だから何?」としか思えない。
もうそういうのはニューノーマル、つまり当たり前になりつつあるので、
それが観光業回復の決め手にはならないでしょう。

アメリカらしいシステムとしては、
・人と接しないでチェックインできるシステム
・キャッシュレスでの支払い
を導入しているところも多いようです。

衛生管理や、無人システムの導入は、
これから世界中で当たり前になっていきそうですね。

https://www.swissinfo.ch/jpn/%E6%B6%88%E3%81%88%E3%81%9F%E5%A4%96%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E8%A6%B3%E5%85%89%E5%AE%A2-%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E8%A6%B3%E5%85%89%E6%A5%AD%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%83%80%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8%E6%B7%B1%E5%88%BB/45829006

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200615/k10012470521000.html

中国の事例

一足早くコロナショックから立ち直りつつある中国ではどうか?

中国では、コロナによる都市封鎖が解除された途端、
国内旅行の需要が大爆発、国内旅行がめちゃくちゃ盛んになったそうです。

ディズニーランドなども営業再開しています。
ただ入場者数を制限し、チケットも事前販売制だそうです。

また中国はさすがIT先進国だけあって、
「健康コード」と言うシステムが導入されています。
個人番号や個人情報が紐付けされたスマホアプリで、
その人のコロナ感染リスクが3段階で表示されるシステムです。

ディズニーランドなどの観光地でもこのアプリを活用し、
できるだけリスクを下げる工夫がなされているそうです。

旅行需要はなくなっていない

ということで、観光業界の現状や、海外の現状について見てきましたが、
実は今、旅行需要がなくなった訳ではないんですよ。

中国でもコロナ後に国内旅行の需要が一気に拡大した例からもわかりますよね。

需要がなくなった訳ではなく、
ただ、コロナによって抑えつけられているだけ。
「行きたい」という人は多い。

国内でも熊本県観光協会連絡会議の調査によると、
外出自粛によって、旅行やお出かけに対する人々の意欲は向上していると、
そういう結果もでているんですね。

だから、これ、
実はチャンスも転がってるんじゃないかな、と。
そんな風にも思います。

<参考>
・外出自粛生活が続くことで、旅行やお出かけに対する消費者の意欲は向上。

・これまでは移動手段の発達で国際観光を含む遠方への旅行が活発化していたが、当面は近郊への旅行・お出かけ市場が主戦場。

・旅行先選びも「3密(密集・密閉・密接)を避ける」を意識し、テーマパークや都市部など密集が想定される場所は回避し、自然や開放感のある場所が好まれる傾向。

・消費者は景気悪化の不安を感じ、旅行等の余暇・レジャーの出費には厳しい状況。

https://news.yahoo.co.jp/byline/suzukitakahiro/20200508-00177577/

観光業界を救う3つのヒント

ではこのような状況をふまえて、
観光業界が復活していくためにはどのような取り組みをしていけばいいか?

そのヒントとなるアイデアを3つ紹介します。

チャンスは近場旅行にあり

まずひとつめは「近場旅行」ということです。

中国では国内旅行がブームになっていると言いましたよね。
外国に行くのは無理だけど、
じゃあその分、国内で楽しもうということです。

その他の国でも、もちろん日本でも、
過去の事例からして、
大きな災害や事件が起こると、海外旅行や遠出する旅行が減るという傾向があります。

例えば、外国でテロ事件が起きると、
全然関係ない国に行く時でも「ちょっと怖いな」と思いますよね。

コロナについても、実際には隣の県に行こうが、市内で遊ぼうが、
コロナの感染リスクなんてそんなに変わらないと思うんですが、
それでも心理的には「あまり遠くに行くのは怖い」という心理状況になります。

なので、日帰り旅行や、近場への旅行の需要が
ここしばらくは高まると思われます。

つまり、首都圏だったら、
箱根、熱海あたりへの旅行。

静岡だったら東京に行くのは怖いから、
県内で例えば伊豆とかに旅行に行こう、となる人が増える。

逆にいうと、
観光地の人は、遠くからとか、海外から人を呼び込もうとするのはやめて、
近隣からの集客に全力投球すれば良いということです。

例えば、私、静岡県の掛川市出身なんですが、
掛川だったら掛川城というのが有名なんですね。

で、掛川城の周りには、
観光客向けのホテル、飲食店、お土産物屋さん、駐車場があります。
またそのホテルに出入りしている業者もありますよね。

そういう業者がお金出し合って、クーポン券をつくる。
ケチくさい内容とか、中途半端なことしてもあんま意味ないんで、
掛川城の入場料とか、駐車場料金をタダ、美術館の入場も無料ぐらいのかなりお得な内容のクーポンね。
もちろん、電子クーポンでもいいです。

資金が苦しければ「掛川城を救おう」
みたいなクラファンをやって資金を捻出する。

まぁそんな感じでクーポン券を作って、
それを県内の大企業にただでばらまく。
それで、社員さんとか、関連業者にプレゼントしてもら。
あとは行政とも協力して配布してもらう。

人が集中するのが心配だったら一気に何万枚も配らずに、
配布時期をずらしていけばOKです。

そんな取り組みをして、
とにかく近隣の人たちを呼び込んで、足を運んでもらう。

これ、結構いいと思いますけどね。

Go To キャンペーンは意外といい

ちょっと話はそれますが、
そう考えるとGoToキャンペーンは意外といいですね。
国内旅行の代金が半額支援されるというキャンペーンですからね。

ただ8月スタートというのはいただけない。
8月じゃ遅いですよ。

いますぐやって欲しいですね。

個のニーズに寄り添う

2つめのヒントは「このニーズに寄り添う」ということです。

本当は人のニーズ、需要って、
人それぞれもっと細かくわかれていますよね。

例えば、
ディズニーランドで乗り物乗りまくりたい人もいれば、
あの雰囲気を楽しむだけの人もいる。

私なんかは絶叫マシーン、怖くて乗れないので、
フリーパスとかもらっても困るんですよね。

1日のんびり京都で過ごしたい人もいれば、
いや、山登りがしたいよという人もいる。

これはかなりザックリとしたニーズの話で、
本当はもっともっと細かいニーズがあるはずなんですよ。

わかりやすい例で言うと時間ね。

特に需要調査もせずにとりあえず
9:00〜17:00とかナンセンスだなと思う。

例えばさっきの掛川城の例で言うと、
早朝に「掛川城の天守閣から朝日を眺める」とか、
夜の仕事終わりに「掛川城で夜景を眺めながらディナー」とか。
深夜に肝試しとか。

時間という観点で切り取ってみても、
これだけ細かいニーズがあるはずなんですよ。

例えばどこかの有名な神社があるとして、
そこにお参りに行きたい人もいるし、
宮司さんのお話を聞きたい人もいるし、
社殿に入ってみたい人もいる。

いろんなマニアックなニーズがあるので、
それをうまく汲み上げていけばまだまだいろんな可能性があると思うんです。

で、この個々のニーズを汲み上げるっていうのは
密を防ぐということにも繋がるんですね。

9:00〜17:00で営業するから混む可能性が高くなるんで、
6:00〜21:00で営業して、早朝の良さ、夜の良さを打ち出せれば、
お客さんはバラけますよね。

ただ、お客様がバラけると当然、採算性は悪くなります。
なので、他の方法で客単価をあげる工夫が必要になってきます。

気持ちを高めておく

3つ目のヒントは、「気持ちを高めておく工夫」をすることです。

今、SNS、YouTube、VRなどで積極的に情報発信している観光地が増えてきているそうです。
それは、「今すぐに来て」というプロモーションではなく、
「落ち着いたら行きたいな」と思わせる。

つまり、気持ちを高めておくためのプロモーションなんだそうです。

特にすごいのはVRですね。

VR空間に入ってであたかもそこに行ったような体験をさせる。
それはそれですごい体験だし、
お客様も「すごかったねー」と満足してくれる。

でも、それで終わりかというと、
そうではないんですね。

多くのお客様はそれで体験しておきながら、
「いつか実際に行ってみたいな」と思うんです。

なので、このサービス無料で提供してもいいと思います。

中には例えば、カヌーとか、
VRで予習できるようなサービスもあるようです。

予習までしたらさすがに気持ちが高まりますから、
行きたくなりますよね。

ちなみに中国人向けのある旅行会社
(中国や香港のインバウンド観光に関する日本のインバウンドメディアやインターネット上だけで取引を行う旅行会社である大手OTA(Online Travel Agent))
の調査によれば
「コロナ後に一番行きたい国は日本」との結果が出ているそうです。

なので、
まとめると直近は近場からのお客様や
マニアックなお客様のニーズを拾い上げてなんとか乗り越えつつ、
アフターコロナを見据えてプロモーションしていく。

そうすればこの苦境を乗り越えることができるのではないか?
という戦略が見えてきました。

ニューノーマルは当たり前

最後に、
営業再開するにあたって気をつけないといけないのが、
「ニューノーマル」=「新しい生活様式」は常に意識しておかないといけないなということです。

つまり、三密を回避するとか、手洗い消毒の徹底とか、
それはもうこれから少なくとも来年ぐらいまでは
当たり前の常識になっているよと。

「営業再開して、また活気が出てくれるといいな〜」
とイメージする時、
多くの人は「人がワーッと集まって、混み合ってる姿」をイメージしがちだと思うんですよね。

でももうそれはできないということです。

三密回避は当たり前ですからね。

なので、一度にお客様を集めるのではなく、
分散させないといけない。

客席数や、入場数が少なくてもやっていけるビジネスモデルを
つくっていかなくてはいけない。
その前提を考えつつ、アフターコロナに向けて進んでいくことが大事です。

私たちは少なくともしばらくはコロナと共に生きるwithコロナの時代を生きることになります。
ニューノーマルを意識しつつ、アフターコロナに向けて生き残る戦略を立てていきましょう。

ということで今回は
withコロナの観光業界を救う3つのヒントというテーマでお送りしました。