学校の先生って大変ですよね、とよく言われます。
そのとおり、かなり過酷です。
実際、ウツとか適応障害とか、
心身を病んでしまって、学校に来れなくなってしまう先生もかなります。
ということで今回は
実際に10年以上教育現場で働いてきた
元中学校教師の私が、
先生の心を壊してしまうほど過酷な教育現場の実態を暴露します。
このチャンネルでは
元中学教師の私が
社会問題や政治経済などについてわかりやすく解説しています。
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病む教員の実態
ということで、早速本題なんですが
ここ最近、よくニュース等で
「心の病で休職する教員 年間5000人」
というニュースを目にします。
が、この報道には実は裏があって、
心の病でお休みしている先生は
実はもっともっと多いです。
教員が病気等でお休みする制度って
『休職』と『病気休暇』と2つあって、
よく目にする「心の病で休職5000人」という情報は
『休職者』に限った情報なんですよ。
『休職』というのは3ヶ月以上のお休みのこと。
心の病で3ヶ月以上休んでいる先生が
年間5000人いますよと。
それに対して、
『病気休暇』というのは
3ヶ月未満のお休みのことを言います。
心の病で1ヶ月以上、
病気休暇で休んでいる先生は
年間4000人ぐらいいます。
休職と、1ヶ月以上の病気休暇、
合わせると9000人です。
実際はもっともっと多いです。
働いている人ならわかると思いますが、
心の病にしてもなんにしても、
いきなり1ヶ月以上休養って、ほぼないです。
それはもう相当重症なケース。
だいたいは
2週間休んで様子を見ましょう。
それで復帰してみて、またダメで、
また2〜3週間休んで、
それを何度か繰り返した後に、長期休暇に入ります。
そういう人を入れると、
おそらく年間20,000人以上が、
心の病で休んでいるというのが実態だと、
私は推測しています。
全国に公立の小中高合わせて約25,000校あります。
私の体感では、
だいたいどこの学校にも心の病で休んでいる先生、
休みがちな先生はいるので、
20,000人以上いるというのは
現場感覚として多くの先生が納得する数字だと思います。
なぜ病むのか?
ではなぜこんなにも多くの教員が
病んで休んでしまうのか?
後半ではその理由について、
ランキング形式でお送りいたします。
第5位 仕事の偏り
まず第5位は仕事の偏りです。
今回は主に公立学校の話なんですが、
公立の学校教員というのは公務員です。
公務員は仕事ができなくても、
人間的にクズでも、ゲスでも、外道でも、
クビになることはありません。
(犯罪を犯さない限りは)
そして、ひたすらじっと耐えていれば
経験年数と共にある程度は給料は上がっていきます。
これはある意味で、社会主義的な仕組みですよね。
仕事ができる人もできない人も、
優秀な人もダメなやつも、みんな一緒。
みんなで給料を分け合っている状態です。
私は社会科教師だったんですが、
ソビエト連邦など社会主義国家が衰退した理由のひとつとして
「働いても働かなくても給料は同じ。
だったら働かない…という人が増えちゃったんですよ〜」
と教えます。
教員組織はまさにこの状態です。
がんばってもがんばらなくても給料同じ。
担任しようがしまいが、顧問やろうがやるまいが給料同じ。
だったらやらない。
「うちは家庭の事情で無理です」と断固断る。
そういう人がたくさん出てきます。
今60歳前後の世代は、めちゃくちゃ優秀な人もいますが、
・全然仕事ができない人
・大きな仕事を断る人
が、かなりいます。
そのせいで、優秀な人や、若手にどんどん仕事が回っていき、
負担が増えていきます。
仕事ができない人、仕事を断る人に無理やり仕事を割り振ると
学校が崩壊してしまうので、管理職もそういう人には仕事を回しません。
30〜40代で一番バリバリ働ける先生は
学級担任、部活顧問、生徒会担当、部門のリーダー、地域の補導、外部団体の役員、教職員組合の委員、
それくらいの仕事を1人で抱えているのは当たり前という状況です。
もちろん授業もやりながらですよ。
ということで、
仕事の偏りが第5位。
第4位 長時間勤務
第4位は長時間勤務。
これについては以前、他の動画でも紹介しましたので、
詳しくはそちらをご覧いただけたらと思うんですが、
だいたい多くの先生は毎日12時間ぐらい働いています。
毎日2〜5時間の残業をしていて、
月に40時間〜100時間は残業していることになります。
中学校の先生は
ここにさらに土日の部活が入ってきますから、
残業&時間外勤務&休日出勤で、
毎月100時間なんて、軽く超えます。
厚労省が定めている過労死ラインは
『残業月80時間』なんですが、
そんなのはもう鼻で笑うレベルで超えまくっています。
しかも、「今月の残業100時間超えたわ〜」とかではなく、
毎月、毎月、何年にも渡って
そういう勤務をしているんです。
通常の勤務時間を合わせると、
毎月200〜300時間働いていることになります。
これはたぶんやったことない人には
なかなか大変さがわからないかもしれませんが、
ちょっと頭がおかしくなりそうになりますよ。
私も一番忙しかった時には
帰ってからテレビの音も聞きたくないし、
ずーっと疲れていて寝ても疲れが取れない。
身体中が痛い。
メール返すのも面倒くさい、家もぐっちゃぐちゃ、
みたいな状態になったこともあります。
今考えると落ちる寸前でしたね。
第3位 部活動
続いては部活動です。
これについても以前、
他の動画で出しているので、
詳しくはそちらをご覧ください。
この部活動という制度が、
教員の長時間労働の原因でもあり、
精神的、肉体的、時間的に、
ものすごい負担になっています。
もちろん、部活をやりたい子どもたちもいるし、
部活が好きな先生方もいるし、
保護者の期待もある。
そういう人はやればいいと思うんですよ。
学校外でお金払ってね。
「やりたい人がいるから」
っていう理由で、
やりたくない人たちに、
時間外労働や休日出勤を強制するというのは
ほぼ奴隷制度ですよね。
土日を削られ、残業を強制されているのに
ほとんど手当ては出ない。
がんばったらがんばったで
「あの先生はやりすぎだ」
「勉強する時間がなくなる」と文句を言われ、
やらなければやらないで
「前の先生はやってくれた」
「子どもの気持ちを考えろ」と文句を言われる。
まったく未経験の部活の顧問になってしまい、
ルールも知らない状態から、
毎日その競技の指導をさせられる。
そういう状況で、病まない人っているんですかね。
逆に。
第2位 保護者対応
そして、第2位は保護者対応です。
公立の学校に来る生徒の家庭環境は本当にさまざまです。
弁護士の子供、先生の子供、
元反社会勢力の方の子供、日本語があまりしゃべれない両親の子供、
食べるものが買えないぐらい貧しい家庭の子供。
いろんな家庭があるので、もちろん保護者の要望もいろいろです。
地域にもよるんですが、
6〜8割ぐらいのご家庭は学校に対して協力的で、
良好な関係を築いていこうとしてくれます。
ところが、
1割ぐらいの家庭は、はじめから学校に対して不信感を持っています。
マスコミの報道などのせいで
「学校の先生は何か悪いことをしているのではないか?」
「学校の先生はいじめを隠しているのではないか?」
「学校の先生はうちの子を不当に扱っているのではないか?」
と、なぜか、はじめから疑いの目で見てきます。
そして、
1割ぐらいの家庭ははじめから学校を敵視していたり、
非常に見下しています。
「中学校の教員ごときが何を言ってんだ」とか、
「お前ら税金で飯食ってんだろ」とか、
はじめからそういう態度の人は一定数います。
これは誤解を招く表現かもしれませんが、
元教師としての個人的に感じてきたことです。
学校の先生は、こういう現状を訴える手段がないので、
誰もこんなことは言いませんし、
今まで言語化されたことはなかったでしょう。
ですが、きっと多くの先生が賛同してくれると思います。
こういう現状の中なので、
「なんでうちの子の成績が3なんですか!?」
なんていうクレームは、まだかわいい方です。
下手したら、
「成績を上げろ」とか
「テストの点数を変えろ」というクレームが来ます。
ちょっとした教師の言葉をあげつらって
「教育委員会に言うぞ」とか
「知り合いの議員に言ってやる」とか言ってくる人もたくさんいます。
私はある学校で、保護者が乗り込んできて、
応接室で対応していたのですが、
5時間、部屋から一歩も出してもらえず、
助けも呼べない状況の中で
ひたすら怒りをぶつけられたことがあります。
第1位 職場の人間関係
もうここまで話した時点で、
話しているだけでも病みそうなのですが、
最後、堂々の第1位は
職場の人間関係
です。
これ、最初は第5位にしようと思っていたんですが、
第1位にもってきました。
なぜかというと、
どんな大変な状況の中でも、
上司や同僚、支えてくれる人がいてくれると
大抵のことは乗り切れるからです。
もちろん、先生同士のいじめとかもあります。
私もおばさんの先生に2ヶ月無視されたこともあります。
そんなのはどこの職場でもあるので、
そんなんでいちいち病んでいられない。
あと、生徒が反抗するとか、
言うこと聞いてくれないとか、
そんなのもストレスではあるけども、
それは仕事なので仕方ない。
サッカー選手が「疲れるからやめます」と言ったり
格闘技の選手が「痛いからやめます」と言ったり
しないのと同じで、
それは仕事の中で想定されるストレスなので、
それは教師だったら許容できるし、
立ち向かっていけるんですね。
ところが、
そういうトラブルが起きた時に、
味方だと思っていた人が、実は敵だった。
そういう状況が一番病みます。
まぁ敵味方というのはないので、
あくまでも例えなんですけどね。
例えば、
保護者からクレームが入りました。
そんなんは当然あるじゃないですか。
それに対して「こういうことがありました」って報告したり、
相談したりした時に
「えぇ!?なんで!!??」
「それでどうすんの」
「チッ」
とか言ってくる人、いるんですよね。
これ最悪ですよね。
挙げ句の果てに
「なんでもっと早く報告しないんだ」とか
「主任には言ったのか」とか言ってくる。
いや、今言ってる最中だし、
そういう態度だから報告しにくくなってくるんだよと。
特に若い子たちなんかは下手したら
自分のお父さんよりも年上のおっさんから
そんなふうに詰め寄られたら
そりゃどんどん追い詰められていきますよね。
私の周りにも心の病で休職した先生、何人もいますし、
ネット上に上がっているいろんな体験談なんかを読むと
多くに共通しているのが
最終的に管理職に追い詰められたという点です。
味方になってくれなかった。
教員内でいじめられていますと相談しても
「そんなはずはない」
「それは指導だ」と言われたり、
クラスでこういうトラブルが起こりましたと報告したら
徹底的に糾弾されて、各所に謝罪させられて、
1人で全面的に矢面に立たされたりとか。
そういう話をよく聞きます。
そういう時に、
管理職や年上の先生が1人でも話を聞いてくれたり、
それは俺の責任でもあるから、俺が謝るよと言ってくれていたら、
状況はまったく違っていたでしょう。
ということで今回は、
教員の心を壊す教育現場の過酷な実態というテーマでお話ししました。
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