先日、タクシーに乗った時に
「PayPayで支払いできます」
って書いてあったんですね。
タクシーの現金払いってめんどくさいですよね。
お釣りがなかなかなかったりとかね。
ようやくPayPay使えるようになったかと思って、
PayPayで払ったんですよ。
それで
「はい、支払い完了しましたー、確認してください」
って言って確認画面見せたらなんと、
タクシーの運転手さんが
「はい、ちょっと待ってねー、
えーと○月○日、2,000円、支払い番号が123456っと。
はい、ありがとねー」
と言って、なんと手書きで記録してたんですよ。
エーーー!!!!
こんなことってあります??
キャッシュレス決済の意味!!
個人タクシーじゃないですよ。
地元で結構大きなタクシー会社です。
おそらくこの運転手さんは会社に戻った後、
この記録した番号を手入力でパソコンに入力するんじゃないかと思うんですね。
なんて、非効率的なことしてるんだ、と。
電子書籍を印刷して読んでるぐらい
無駄だらけの作業ですよ。
会社の中で誰も意義を唱える人がいなかったのでしょうか?
こういうことですよ、日本がデジタル化の分野で
世界より15年遅れてると言われるのは。
とは言うものの、
今の話を聞いて正直「何がおかしいの?」と思った方もいると思います。
そういう方にこそ、今日の記事、読んでほしいです。
最近、話題になった本で『アフターデジタル』
という本があるんですが、
今回はその本の内容を紹介しつつ、
私の私見も交えて
「デジタルで今後社会はどう変わっていくの?」
ということをお話ししていきます。
このブログでは「好きを仕事に自分らしく生きる」をテーマに、
ビジネスや自己啓発、社会システムに関する記事を配信しています。
ビジネスやこれからの社会について興味あるよという方は、
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そちらも大好評なのでぜひそちらのフォローもよろしくお願いします。
世界のデジタル最前線
ということでまずは世界のデジタル事情をざっくり紹介します。
エストニア
最初に紹介するのはエストニア。
「え、どこ?」
という感じだと思いますが、
北欧フィンランドとポーランドの間ぐらい。
人口は130万人ぐらいで、
バルト三国と呼ばれる国のひとつです。
なぜいきなりエストニアを紹介するかというと、
知らない人も多いと思いますが、
エストニアは世界で最も政府の電子化が進んでいる国なんです。
エストニアは行政の手続きがほぼデジタルで行われます。
また、国民の個人情報をほぼオープンにしています。
どういうことかというと、
データベースにアクセスして名前を検索すれば、
所有する不動産や資産、納税額など
日本だったら考えられないほど個人のプライベートな情報を
まるまる見ることができる。
なぜかというと、
こうすることによって犯罪行為や
脱税などの不正行為を防ぐことができるという考えです。
日本では個人情報を提供することのリスクばかりが
声高に叫ばれますが、
国民が個人情報を提供することは、国民全体のメリットでもあるわけです。
その両面を見ていくことが大事ですよね。
スウェーデン
続いてスウェーデン。
陰謀論が好きな人の間では悪名高い
『マイクロチップ』が国民全員に埋め込まれている国です。
親指と人差し指の間の手の甲に
注射器でマイクロチップを埋め込み、
それによってキャッシュレス決済ができたり、
移動データが保管できたりするシステムです。
スウェーデンではもうモバイル決済よりもさらに進んだ
キャッシュレス決済が当たり前になっているそうです。
中国
最後は中国。
この本の著者藤井さんは中国在住で、
めちゃくちゃ中国のIT事情に詳しい方で、
この本も多くは中国のIT事情について書かれています。
中国はインターネット人口が8億人を超え、
その97%がスマホを使っていて、
そのうち98%がモバイル決済を利用しているという
すさまじいデジタル大国なのです。
現金で買い物しようにもお店にお釣りがない。
人々は財布を持ち歩いていない。
ホームレスや神社のお賽銭までQR決済を利用しているそうです。
それに対して日本のキャッシュレス比率は約20%。(2019年)
中国は2015年の時点で60%を超えています。
日本の現状については、最後の方で改めてお伝えします。
オフラインがなくなる?
さて、こういう状況が進んでくると、
もはや「いつでもオンラインでつながっているのが当たり前」
「オフラインなんて存在しない」
というような状態になっていきます。
例えば、
朝、起きてSNSをチェックして、
ネットのニュースを見て、
シェアリング自転車で通勤する。
シェアリング自転車については後ほど説明します。
もちろん、シェアリング自転車の決済はモバイル決済で、
どこからどこまで移動したかという情報はデータとして保管されます。
街にはセンサーや監視カメラが何億台も設置されていて、
映像はすべてデータとして保管されます。
買い物も基本、モバイル決済で、
現金はほぼ持ち歩かない。
デジタル決済なので、
いつどこで誰が何を買ったか?
すべてデータとして残ります。
お小遣いや、割り勘など、個人間のお金のやりとりも
すべてモバイル決済。
注文も基本オンラインで、
商品はデリバリーしてもらうか、
お店に行くとしてもそれを受け取るだけ。
人とのやりとりも基本はオンライン。
仕事が終わったら、
またシェアリング自転車で帰って、
オンライン上の友達とチャットやゲームを楽しむ。
睡眠時間や体温、心拍数や歩数も
アップルウォッチみたいなウェアラブル端末でデータとして保管。
中国や他のデジタル先進国では
すでにこういう状況になっているんですね。
これについて
「コワイ」とか「そんなのは嫌だ」という人もいますが、
それは携帯電話がで始めたころ、
「そんな四六時中電話がかかってきてほしくない」と言って
いつまでも携帯を持たなかったおじさん、おばさんと同じです。
世界中が必ずこういう風になっていきますから、
恐るよりもむしろ楽しみながら、
積極的にこの変化に適応していった方が生産的です。
アフターデジタルとは?
このようにオフライン状態がなくなり、
常にオンライン状態になっている状態のことを
この本では『アフターデジタル』と呼んでいます。
このアフターデジタルの世界観をいかに具体的にイメージできるか?
これからの社会で、企業や個人にとって大事なのはそこです。
そこを見誤ると、
ビジネスも人生もうまくいきません。
今までの社会は
「リアルがあってデジタルがある」という社会でした。
これをビフォアデジタルと呼びます。
それに対してこれからの社会は
「基本デジタルで絶えずつながっていてたまにリアルがある」
そういう社会に変化していきます。
これがアフターデジタルです。
多くの日本人がイメージするデジタル社会の
一歩先にあるイメージですね。
アフターデジタルのオフライン
例えば、日本企業がデジタル化を進めようとする時、
多くの人は
「今、オフラインであるシステムをどうやってオンライン化しよう?」とか
「オフラインで売ってきたものをオンラインで売るにはどうしたら良いか?」
というような発想になってしまうそうです。
これはビフォアデジタルの価値観です。
そうではなくて、
もうオフラインの状態がなくなるのです。
むしろオンラインが普通。オンラインありき。
その上でたまにリアルがある。
そうなっていくよ、と。
そのひとつの例として、
中国版のAmazonのような会社、『アリババ』が手掛ける
スーパーマーケット「フーマー」の例が紹介されています。
何も知らずに行くと、
ちょっとすごめの大型スーパーという感じに見えると思いますが、
これがもうちょっとどころじゃなくすごい。
このスーパーの店員さんがかなりたくさんいるらしいんですが、
みんな手にタブレット端末を持っています。
これだけでも日本人からしたら「うわぁ進んでる〜」と思いますよね。
でもすごいのはここからです。
このタブレット端末には、ひっきりなしにオンラインで注文が入ってくるんですね。
店員さんは注文が入った品をピッピとバーコードで読み取りながら、
バッグに入れてそれを壁に備え付けられたフックに引っ掛けます。
そしたら、
するとそのバッグはベルトコンベアーで天井まで上がっていって、
自動でお店の裏にある配送センターまで運ばれていく。
配送センタにはたくさんのトラックが止まっていて、
次々に送られてくる商品をガンガン積み込んで
ガーっと出ていきます。
そしてなんと、注文してから30分以内に配送されるそうです。
もう圧巻ですよね。
ちなみにこのサービスを利用する人の多くは
一度はこのお店に実際に訪れるそうです。
もちろん目で見るのが楽しいというのもありますが、
実際に新鮮な魚、野菜が並んでい流のを目の前で見て、
「なるほど、これなら安心だな」
と思って買うそうです。
もともと生鮮食品とネットショッピングって相性が悪いんですよね。
どんなものが届くか、心配じゃないですか。
特に中国の場合は食の安全性について不信感を持っている人も多い。
でも、フーマーはそれを逆手にとって、
見事なシステムをつくりだしています。
また、このフーマーのすごいところは、
オンラインと、リアル店舗と、倉庫と、配送センターが
見事に融合しているところです。
境目がないですよね。
オンラインで絶えずつながりつつ、
リアルで時々見にいったり、リアルの配送システムでそれが届けられたりする。
これがアフターデジタルということです。
日本にもせまりつつあるアフターデジタル
さて、このようなアフターデジタルの世界、
私にはまだまだ関係ないわと思う人も多いかもしれませんが、
日本にも着実に迫ってきています。
そのひとつが『シェアリング自転車』です。
私はこの本を読むまでシェアリング自転車って名前は聞いたことがあるな、
程度で、あまりよく知りらなかったのですが、
この本を読んで、そのすごさを思い知りました。
中国では自転車屋が潰れるぐらいの勢いで、
かなり多くの人がシェアリング自転車を使っているそうです。
このシェアリング自転車、何がすごいのかというと、
移動情報がデジタル化されるということです。
例えば、
楽天とかがシェアリング自転車のサービスを打ち出したら、
どこの誰が、いつ、何時に、どこからどこまで移動している。
この人の行動圏内はだいたいこれくらいで、
たまに旅行に行ったりもする。
というような情報がすべてデータとして把握できるんですね。
パターンがわかると、
この人にこのタイミングで、この商品、このサービスを提供すると
おおよそ何%の確率で売れるということがわかる。
もちろん人力ではなく、AIが判断します。
つまり、これによって、企業のオンラインビジネスがめちゃくちゃ加速するということです。
で、「これはすごいなー」と思っていたんですよ。
そしたらですね、
この前、美容院に行った時にですね、
私、10年前に教えた生徒に切ってもらってるんですが、
急にこう言われたんですよ。
「先生、シェアリング自転車って知ってます?
めちゃ便利で最近よく使ってるんですよ」
って。
私から一言もその話題出してないのに。
静岡みたいな田舎でも
若者の間ではもう結構、普通に使われてるんですよね。
もう日本もかなりアフターデジタルに近づきつつあるなと
そう思いました。
その他にもちょっと前までは、
リアルで会ったことない人とオンラインで友達になるとか、
会ったことない人とオンラインだけで仕事のやりとりするとか、
考えられなかったですよね。
そういうところでも
デジタル化はどんどん進んでいます。
日本のキャッシュレスは絶望的に遅れている
ところが、
日本のデジタル化をはばんでいる大きな原因の
ひとつはキャッシュレス決済が、全然普及しないことです。
日本のキャッシュレス比率は約20%。
それに対して、中国は2015年の時点で60%を超えています。
もう壊滅的な差ですよね、これ。
今、日本はいろいろなキャッシュレスサービスが乱立してしまっている。
これはまぁ初期段階では仕方のないことなのですが、
そのせいでイマイチ売り手にとっても
買い手にとっても使い勝手が悪い状態になってしまっています。
2019年はキャッシュレス元年と言われ、
その中でも特に流行ったのが、前述のPayPayですよね。
キャッシュバックがあるからということで、
みんな使ってましたよね。
でもQR決済って、
基本、モバイル決済の前の時代の技術なんですよ。
自分で金額入力して、
店員さんに確認してもらって、とかやるでしょ?
あんなん、モバイル端末でピッで、いいじゃないですかね。
QR決済だと、
店名ぐらいは残るかもしれないけど、
何買ったかという購買データも残らないでしょ?
お店側にも、ユーザー側にも。
それ、デジタルの意味ないですから。
この購買データが大事なんですよ。
Amazonもアリババも、
購入データがあるから強いの。
どこに住んでいる、何歳の男が、
どういうタイミングで、どういうものを買っているか?
そういうデータの集まりをビッグデータと言います。
それを得た企業が最終的に
覇権を握ると言われているんですよ。
そんな中でですよ、
日本はただ「どこの店でいくら使った」っていう
めちゃめちゃスモールデータしか得られないような
QR決済というシステムが、
しかも2019年の段階でようやく流行り始めた。
だから日本は世界から15年遅れていると
言われているんですね。
日本人はこの事実を重く受け止めるべきです。
その上で今後の戦略を考えていく。
間違っても「日本は先進国だ」とか
「中国は汚い後進国だ」なんて前提に立って
物事を見ていてはいけません。
こういうことを言うとまた
「お前は中共の犬だ」
と罵ってくる人がいるでしょう。
別にそう思うのは勝手ですが、
どうか皆さん、この現実は重く受け止めてほしいです。
日本がこのまま『元先進国』になってしまうか、
それとも明治維新の頃のようにまたがんばって
一気に世界の舞台で活躍できるようになるか、
それはここ数年の動きにかかっていると思います。
と言うことで今回は
アフターデジタルをテーマにお送りしました。