ブラジルでコロナウイルスが猛威を奮っています。
この原稿を書いている6月13日現在、
感染者数は83万人。
日本(17000人)の50倍です。
アメリカは200万人を超えていますから、
まだまだそれには及びませんが、
人口比から考えるとかなりの勢いで感染が拡大しています。
なぜこうなってしまったのか?
ということで今回は
ブラジルの現状についてお伝えします。
最後まで読んでいただけると、
ブラジルの現状について知ることができると共に、
ブラジルを例にして、これから発展途上国がどうなっていくか?ということもわかると思います。
ブラジルの現状
まずは現状から確認します。
ブラジルはもともと3月ぐらいの時点ではそんなに深刻な感染国ではなかったんですね。
でもここ最近になって感染者が一気に急増。
1日で3万人以上増えた日も何回かありました。
感染者は累計で83万人。
死者は4万人を超えました。
ブラジルはもともとスラム街があったり、
貧困層の人々がいたりして、
かなり衛生状態が悪い地域もあります。
水道を使えない人が4000万人、
下水設備がない人が1億人いるそうです。
なので、もともと衛生状態に問題を抱えていた地域や人々がたくさんいた。
そこに来てのコロナウイルスの流行。
もちろん消毒液などももうとっくに売り切れているそうです。
治安の悪化もかなり懸念されています。
コロナをきっかけに警察官がストライキを起こしたり、
刑務所から1400人の囚人が脱出したりしています。
スラム街はもともと警察や自治体の権力が行き届かない無法地帯みたいなところがあったそうなんですが、
そういうところはマフィアが「自主的にロックダウン」して、住人が無闇に出歩かないように取り締まったり、水や食料を配給したりしているそうです。
すごいですよね。
まるで世紀末です。
さて、経済はどうかというと、
まぁもちろんかなりやばい状況みたいなんですが、
なんとこの状況で経済は再開しつつあるんですよ。
どういうこと?
と思いますよね。
これね、
あとからまた説明しますが、
「もう死んでも仕方ない。経済を止めるな」
という人たちが一定数いるそうです。
日本でもね
「経済を止めるな」という人たちはいますが、
さすがに「死んでも仕方ない」とまでは言えないですよね。
ところがブラジルではこれだけ感染拡大していても
「もうかかってもいいじゃないか。
死んでも仕方ない。
それよりも経済を再開しないと、
破産して死んじゃうよ」
と言う人たちがいて、
それで商業施設とかがもうリスク覚悟で再開しているということなんですね。
ブラジルのトランプ
さて、この「経済を止めるな派」の先頭に立っているのが、
なんと大統領なんですね。
「ブラジルのトランプ」と呼ばれる男。
ボルソナロ大統領です。
彼は元陸軍大尉で極右的な人物です。
極右というのは保守派の中でも強硬で、過激な人たちのことです。
彼はコロナ発生当初から
「コロナウイルスは風邪と同じ」
「経済を止めないことが至上命題」
と主張してきました。
死者が増えた時には
「どうせ人はいつか死ぬ」
「残念なことだが、私にどうしろと?」
など、
日本の指導者が言ったら大炎上するような暴言を
連発しています。
いうだけならまだマシなのですが、
彼のコロナ制作に反対する保健省大臣を解任したり、
ロックダウンを進めようとする州知事たちと対立したり、彼らの政策を否定したりして、
とにかく普段通り経済活動を止めない政策を推進しています。
しかも、じゃあ彼の支持率は低下しているかというと、そうでもないらしいんですね。
むしろ、国民は分断され、対立している。
つまり、
大統領率いる「経済を止めるな派」と
州知事たちを支持する「ロックダウン派」が
激しく対立しているそうです。
最近、
「ロックダウンしなくてもウイルスの勢力は勝手に弱くなる」
「ロックダウンしても感染拡大は防げない」
という説も出てきています。
でも、ブラジルの現状は
ちゃんと対策を打たないと感染は一気に広がってしまう、ということの証明のような気がします。
医療崩壊の可能性
また、感染者が急増すると
医療崩壊の可能性が出てきます。
本当に怖いのは感染そのものよりも
医療崩壊です。
コロナでの致死率は低いようですが、
コロナ患者で病院がいっぱいになったら
その他の病気の人が治療を受けられなかったり、
重症化した人が人工呼吸器をつけられなかったりして死んでしまいます。
世界有数の先進都市である東京ですらも
医療崩壊直前かと言われていましたよね。
たったあれだけの感染者数で。
発展途上国の医療なんて
すぐに崩壊してしまうと思われます。
ボルソナロ大統領は医療崩壊はしていないと言っていますが、
このままの勢いで感染が広がっていけば
医療崩壊は免れないでしょう。
発展途上国の今後
ブラジルの現状は、
その他の発展途上国の未来です。
これから感染が広がっていく発展途上国でも
「経済を止めるな派」と「ロックダウン派」の
争いが起こるでしょう。
政府や軍の力が強い国は
中国、韓国、台湾のように強烈にロックダウンすることもできるかもしれません。
でも、貧しい国ではそれを無視して
経済活動を続けざるを得ない人、もしくは犯罪に走らざるを得ない人も出てくるでしょう。
政府が弱い国ではすぐに治安が崩壊し、
まともな医療も受けられない状況になるでしょう。
政権不安にもなるかもしれません。
今、ブラジル以外の南米でも
感染が拡大していますが、
今後どうなっていくか?
注目していきたいところです。